ダイエットサプリメントの必要性と危険性
管理栄養士・博士(栄養学) 平井千里
ほとんどの人にとってサプリメントは不要
健康のために、ダイエットのために、サプリメントを使っている人は多いと思います。サプリメントとは、食品中のさまざまな成分の中から身体に必要と思われる成分だけを抽出して濃縮したもの。特定の栄養素を多く含むものとして愛用されています。
過去の栄養学では、サプリメントなど使わなくても自然の食品だけ摂っていれば栄養素の過不足は出ないと言われていました。基本的には私もその考えには賛成です。いくらサプリメントを飲んでも、食事がおろそかになってしまっては健康的な食生活を送っているとはいえません。1日3食、栄養のバランスがとれた食事を食べる、それだけでほとんどの人は基本的に栄養の過不足は起こりません。サプリメントを摂る必要はないでしょう。
サプリメントが必要な例とは?
しかし、中にはサプリメントを必要とする人がいます。そのような栄養素の例の一つとして葉酸が挙げられます。
葉酸は「日本人の食事摂取基準 2015年版」では1日240μgが必要とありますが、日本人の15%は、遺伝子タイプの違いで葉酸不足になり、認知症のリスクが上がってしまう場合があります。そのような遺伝子タイプを持つ人は、1日600μgの葉酸を摂ることが望まれます。また、妊娠を希望している女性の場合、胎児の「神経管閉鎖障害」のリスクを低減するために、240μgに加えてさらに1日400μg(計640μg)の葉酸摂取が望まれます。
しかし、1日240μgは、日本人が栄養のバランスが摂れた食事を食べた際に摂れるであろう最大値。毎日、葉酸を600μg摂ることは非常に難しいことです。このような場合には、葉酸をサプリメントで摂取するのはよい方法だと思います。
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サプリメントの危険性とは?
ただし、葉酸は、余分な量は尿と一緒に排出されるの水溶性ビタミンですが、1000μg以上摂取すると過剰症のリスクがあるとされています。用法・用量を守って服用するようにして下さい。
サプリメントの効用についてお話しましたが、妊娠を希望する女性や、認知症になりやすい遺伝子タイプを持つ人のように、サプリメントを必要とする人は少数派と考えてよいと思います。サプリメントは特定の栄養素を抽出・濃縮したものなので、「過剰症のリスク」のほうが怖いと考えられています。サプリメントは決して安価なものではありませんし、健康によかれと思って飲んでいたサプリメントで身体を壊してしまっては意味がありません。
サプリメントは自己判断で購入せずに、必ず専門家の話を聞いて、自分にとって本当に必要なものだけを購入するようにしましょう。