ビーガンダイエットを始める前に確認すべき3つのこと
「ビーガン(vegan)」とは、肉、魚、卵、乳製品を含む一切の動物性の食品を食べない「完全菜食主義者」のことです。ダイエット(減量)のため、健康になるため、殺生を避けるため…さまざまな理由でビーガンダイエットを始めようと思っている方がいるかと思います。ある研究では、ビーガン食は一般の食事に比べ、コレステロールが少なく、逆に食物繊維、マグネシウム、葉酸、抗酸化物質が多く含まれているということが報告されています。また、ビーガンには高血圧は少なく、心臓疾患のリスクが低いとも言われています。
「正しいビーガンダイエットは、さまざまな健康面のメリットをもたらします。週に一日だけ肉を食べない日を設けるだけでも、がん、心臓病、糖尿病のリスクが減少します」(栄養・食品学アカデミー・スポークスマン, 管理栄養士・ヴァンダナ・シェス氏)
このように魅力的なことばかり注目されるビーガンダイエットですが、いろいろと気を付けないといけないことがあるのをご存知でしょうか?ビーガンダイエットを始めようと考えている方は、以下の3つの質問を自分に問いかけてみてください。
ビタミンは十分摂れる?
肉を食べないようになれば、たしかに自然とビタミンを多く摂るようなるでしょう。しかし、ビーガンの食事にも不足がちなビタミンがあります。「ビーガンの方は、ビタミンB12のサプリメントを飲んだほうがよいでしょう。なぜならビタミンB12は動物性の食品に多く含まれているからです。その他にも、ビタミンD、カルシウム、オメガ3脂肪酸、鉄分、亜鉛をしっかり摂れているかにも注意してください。必要に応じてこれらのサプリメントの利用も検討すべきです」(シェス氏)
サプリや栄養補助食品の類を摂取することに抵抗があるという方もいるかもしれません。そんな方は、「ビーガン」ではなく、ビタミンB12等一部の栄養素は卵や乳製品から摂取する、「ラクト・オボ・ベジタリアン」の方が向いています。あるいは、魚も食べる「ペスコ・ベジタリアン(ペスクタリアン)」を目指す手もあります。魚にはオメガ3脂肪酸、ビタミンD、亜鉛、鉄分、その他のビタミンやミネラルが豊富に含まれているので、「ビーガン」にそこまでこだわりがない方には大いにおすすめできる選択肢です。
計画的になれる?
ビーガンを目指すなら計画的になる必要があります。「栄養素の摂取について注意深く計画を立てないと、ビーガンダイエットは成功しません。何よりも計画が大事です」(シェス氏)
「植物性の食事が必ずしもヘルシーとは限りません。ビーガンの方に人気があるポテトチップス、スイーツ、冷凍食品などを想像してみてください。ビーガン食は加工食品、ナトリウム、糖分が多くなる傾向があります。ビーガンダイエットをするなら、健康を維持するために必要な栄養素の適切な量と組み合わせに細心の注意を払う必要があります。栄養バランスを考えた食事プランを立てると共に、足りている栄養素、足りていない栄養素を常に意識するようにしてください」
また、ビーガンの方は外食する場合にはさらに気を付けないといけないことが増えます。「レストランを予約するときに要望をしっかり伝え、代わりにどんなものが注文できるかレストランと相談することをおすすめします」(シェス氏)
そんなの面倒くさいのは無理だ!と思う方は、「パートタイム・ビーガン」を名乗るのも一つの選択肢です。週に数日は動物性の食べ物を避ける食生活を続けるだけでも、十分満足感を得られるものです。
運動をする?
筋肉を成長させたり回復したりするのにたんぱく質は必須。激しい運動をする方は、なかなかビーガンに踏みきれない場合が多いでしょう。しかし、ビーガンでもクロスフィットからトライアスロンに至るまで、あらゆるスポーツで力を発揮することは可能です。
「ビーガンの方は、まずエンドウ豆、レンズ豆、豆腐などの豆類や、ナッツ、キヌアなどのヘルシーな植物性の食品からたんぱく質を多く摂るように心がけてください。その上で、アスリートの方は、自分に合った食事プランについて管理栄養士に相談することをおすすめします」(シェス氏)。それでもどうしてもたんぱく質の摂取に不安がある場合は、「ピーガン」になってみてはいかがでしょうか?「ピーガン」とは「パレオ・ベジタリアン(魚を食べる)」と「ビーガン」の中間です。
ここまで読んでも、ビーガンになることに迷いはありませんか?「ローマは一日にしてならず」と言います。急がずに、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。例えば、今まで飲んでいた普通の牛乳をアーモンドミルクに換えて、オートミールを煮るだけでビーガン朝食になります。それができたら、週に一日(おすすめは月曜日)だけビーガン食にしてみます。そして、徐々にビーガン食の日を増やしていきます。そうしていけば、違和感なく植物性の食事に慣れていくでしょう。