ランニングで痩せない人にありがちな8つの理由
減量のためにランニングをしている方は、いつも一回のランニングどのくらいのカロリーを消費しているかご存知でしょうか?多くの人はランニングの効果を過大評価しがちで、あわよくばスタバのフラペチーノ一杯分くらいは消費していると考えたくなるもの。しかしそこにはさまざまな注意点があります。ニューヨーク・ウエストチェスター郡の栄養士のLisa Ellis氏が、ランニングで減量しようとする人が犯しがちな間違いについて語った興味深い記事をご紹介します。
カロリー計算を間違えている
ランニングは他の一般的な活動よりも多くのカロリーを消費することは確かです。平均的な男性は1マイル(約1.6キロ)で124kcal、女性は105kcal消費します。つまり3マイル(約5キロ)走れば315~372キロ消費するということになります。しかし、この程度のカロリーは、フレーバーラテやチョコチップクッキーをちょっと食べただけで取り返してしまいます。
対策:まずより正しく消費カロリーを把握することが必要です(このようなサイトが便利です)。またGPS機能のついたランニングウォッチは、走行距離、ラップタイム、心拍数などさまざまな数値を測定できるので、これと組み合わせるとベターです。ランニングの後に、”自分へのご褒美”と称して食べ過ぎてしまう傾向のある方は、消費カロリーを吹き飛ばすことがないよう、量をコントロールしやすい小分けしたクッキーや小さめのパッケージのスナックを食べるようにすることをおすすめします。
脂肪をカットし過ぎ
脂肪を摂るのはよくないからと、何もつけないトースト、ドレッシング無しのサラダ、無脂肪乳をちょっとだけ入れたコーヒーを、ランニング後の食事にしていませんか?人間の体は、ビタミンA,D,E,Kなどを吸収するために脂肪を必要とします。また脂肪は、炭水化物やタンパク質よりも体内でゆっくりと消化されるので、空腹を和らげてくれる働きがあります。さらに、「体内にはグレリンとレプチンという食欲をコントロールするホルモンがあります。グレリンが食欲中枢を刺激、レプチンが満腹中枢を刺激するのです。適量の脂肪は、これらのホルモンが正常に活動する手助けをします。極端に脂肪の少ない食事を摂っていると、これらのホルモンがうまく働きません」(Lisa Ellis氏)
対策:日々の摂取カロリーのうち、脂質が20~30%を占めるようにするべきです。しかしトランス脂肪酸(加工食品に含まれる)は摂らないように、また飽和脂肪酸(肉や乳製品に含まれる)の量は抑えるよう注意してください。好ましい脂肪は多価不飽和酸脂肪で、オリーブオイル、ナッツ、植物の種、アボカド、魚などに多く含まれます。多価不飽和酸脂肪は、心臓病の危険を軽減し、また満腹感を増進させる効果があります。近年の研究では、一部の多価不飽和酸脂肪、特にオリーブオイルについては、その匂いを嗅ぐだけで、満腹ホルモンを刺激する効果があることが分かっています。
空腹状態でランニングしている
「朝食前に走ると脂肪が燃えやすい」と聞いたことがないでしょうか?しかしそれは迷信です。「筋肉は、すぐに脂肪を燃やすのではなく、まずグリコーゲンとして体内に蓄えられている糖質をエネルギー源として使います。このグリコーゲンが全てなくなって脂肪が燃え始めるようになると、体内のエネルギーが急降下して動きは鈍くなり、十分な糖質を摂った状態よりもカロリーの消費が少なくなります」(Rachel Berman氏)
対策:30分以下の軽いランニングであれば、通常体内には十分なグリコーゲンが蓄えられているので、ランニング前に特に何も食べないでも構いません。しかし、それ以上に長い時間、または高い負荷のランニングをする場合は、100~200kcalの軽食を、ランニングの1時間くらい前に食べたほうがよいでしょう。例えば、バナナにピーナツバターをつけるなどして、糖質と少量のたんぱく質を摂るのがおすすめです。またしっかり水分補給しておくことも忘れてはいけません。
ランニング後の栄養が不足している
長くきついトレーニングの後は、筋肉がグリコーゲンを使い果たしてしまい枯渇状態にあります。ここで問題となるのは、そうしたトレーニングの直後は食欲が湧かない人が多いということです。「しかし、ちょっと時間が経って体が落ち着きを取り戻し、グリコーゲンが少なくなっていることを感知すると、必要以上に激しい空腹感を感じます。こうなると目に入るもの全てを食べたくなりがちです」(Berman氏)
対策:きついトレーニングの後は1時間以内に筋肉にエネルギーを充填し、後で空腹感を感じないようにしてください。アメリカスポーツ医学会では、炭水化物とタンパク質を4対1の割合で摂取することを推奨しています。できれば、このときに摂る食事は200kcal以下にして、コップ一杯の低脂肪(高たんぱく)の乳飲料を飲むと効果的です。
エナジージェルの摂り過ぎ
ランニング中の栄養補給過多になっていませんか?エナジーバー、ドリンク、ジェル、シェイクなどで必要以上のカロリーを摂取している人が多く見受けられます。「ランニング用のエナジーフードの類はカロリーが高密度です。食べ過ぎは禁物です」(Berman氏)
対策:60分以下のランニングではジェルやスポーツドリンクは不要です。代わりに水を飲みましょう。それ以上のランニングでは、60分毎に30~60gの糖質(エナジージェル1~2個、または500~1000mlのスポーツドリンク)を摂るのが適切です。
液体カロリーの摂り過ぎ
カロリーは、皿の上もグラスの中も平等です。特に厄介なのがアルコール。アメリカ疾病予防管理センターの2012年の報告によれば、アメリカの成人は1日に100kcalをアルコールから摂取しています。もしその他に、コーヒー、紅茶、ソーダ、ジュースなどの甘い飲み物を飲むとすれば、これは明らかに糖分の摂り過ぎ。また研究によれば、液体状のカロリーは、固形のカロリーに比べ、満腹感を得にくいことが分かっています。つまり、バーで飲む200kcalを控えれば、夕食を200kcal少なくする必要はないということです。
対策:飲み物は基本的にカロリーゼロのもの、水、炭酸水、甘くないお茶などを飲むよう心がけましょう。アルコールについては、抑制のたがが外れて食べ過ぎを引き起こす危険があることに注意してください。「適切な飲酒とは、女性はグラス1杯、男性はグラス2杯程度です。軽めのビールやワイン、蒸留酒の炭酸割りがおすすめです。フローズンカクテルは砂糖が入っているものが多いので避けたほうがよいでしょう」(Berman氏)
結果を急ぎ過ぎる
「セレブの愛用するジュースクレンズなど、メディアで取り上げられるダイエット方法には減量効果の誇大宣伝が目立ちます。短期間でまるっきり変わりたいと思ったり、メディアで宣伝されている効果を得たいと思ったりすると、ダイエット計画は挫折します。1週間で500g程度の減量を目標にするのが現実的でしょう」(Berman氏)
対策:コツコツと小さいことを積み重ねていくことが大切です。例えば、毎日の朝食をヘルシーなものにし、昼食ではいつも食べていたポテトフライの代わりにリンゴを食べるなどしてみてください。はたから見て格好良くはないかもしれませんが、必ず実を結びます。体重計の数字ばかり気にせずに、ヘルシーな習慣が一つ身についたら、自分へのご褒美に化粧品や服などを買うとよいと思います。
ダイエット計画の見直しをしていない
“大きい体は何もしなくてもより多くのカロリーを消費する” これは生理学的な真理です。そのため、落とす体重が多い初期段階では、結果がすぐに現れやすいのですが、減量が進んでくると体が順応してきてしまい、たとえランニングなどの運動をしてもなかなか体重が落ちなくなります。そこで、初期段階にうまくいっていた計画も、減量が進んできたら見直しが必要です。
対策:10~15%の体重が落ちるごとに、摂取カロリーもその分減らすよう、またトレーニングの負荷は上げるよう、ダイエット計画を見直してください。