【気づきにくい!】膵炎の症状・原因・予防法とは
「膵」という言葉が初めて作られたのは、西洋医学が流入してきた江戸時代のこと。それまでは膵臓の存在は日本では知られていませんでした。現代の私たちにとっても、心臓や肺、胃などと比べると「膵臓」と言う臓器には馴染みが薄いのではないでしょうか。膵臓は「物言わぬ臓器」とも呼ばれ、病に冒されても痛みや違和感を感じにくく、気付いた時には症状が進んでしまうという怖さがあります。ここでは、膵炎の症状、原因、予防法についてご紹介します。
膵炎の特徴的な症状とは?
膵炎の症状には、「あるきっかけがあって一時的に起きる症状」と「数日間かけて現れる症状」があります。
急に現れる症状とは?
特に多いのは、みぞおちから左上腹部にかけて起きる痛みです。あるいは背中に痛みが起きる場合もあり、その場合、背中を丸めると痛みがやわらぎます。また、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。痛みの度合いはさまざまで、急激に痛みが起きて動けなくなる人もいれば鈍い痛みを感じる人もおり、ごく稀に、あまり痛みを感じない人もいます。
数日間かけて現れる症状とは?
まず、お腹の調子が悪くなります。具体的には、食事が摂れない、お腹が張る、下痢をするといった症状が起きるでしょう。また、炎症が起きた部分に細菌が感染し、40℃近い高熱が出ます。他にも、黄疸が出て肌や白目が黄色くなったり、尿の色が濃くなったり、体のだるさと共に体中に痒みが起きたりします。高熱や黄疸は重症化の前兆ですので、すぐに医療機関で受診しましょう。
特徴的な症状の注意点とは?
膵炎が重症化すると、血圧の低下、心拍数の上昇、ショック状態(意識がなくなる)といった症状がみられ、死に至ることもあります。嘔吐や腹痛などの症状は治まることがありますので、痛みがそれほど激しくない場合は油断しがちですが、症状が一旦治まっても急激に悪化して重症化するということはよくあります。気になる症状が現れたら消化器内科または消化器外科を受診するのが安心です。
膵炎の原因とは?
主な原因は飲み過ぎと食べ過ぎです。または医療行為が原因になることもあります。
大量飲酒
第一の原因はお酒の飲み過ぎです。特に男性の膵炎は、急性・慢性ともに最も多い原因として挙げられます。毎日、大量に飲酒する習慣がある人ほど危険性が高くなります。「大量飲酒」とはアルコール一日80g以上のことで、目安としてはビールで大瓶3本以上、日本酒で3合以上になります。この習慣を毎日10年間続けると膵炎になる恐れが非常に高いと言われていますので注意しましょう。
食べ過ぎ
第二の原因は油っこいものの摂り過ぎです。これは特に女性の膵炎の原因に多いと言われています。脂肪の多い食事は、胆石が胆汁や膵液が流れる管を塞いでしまい、膵臓の炎症を招いてしまいます。夜遅くにピザやドーナツなどを食べる、油っこちものが好きで野菜が嫌い、一度に大量に食べることが多いなどの食習慣がある人は要注意です。
その他
近年、医原性(医療行為が原因)による膵炎の発症が注目されています。例えば、過去に受けた内視鏡の検査や処置、腹部の手術、抗ガン剤などの薬剤の副作用などによるものです。また、自己免疫性膵炎と呼ばれる膵炎もあり、これは、人間の体を異物から守る防御システムである免疫が、何らかの原因で自分を異物と見なし、膵臓を攻撃することで起きてしまいます。
膵炎の予防法とは?
一日三食
膵炎を予防するには、膵臓や消化機能が正しく働くようにすることが必要で、そのためには日々の食事が重要です。まず、食事は一日三食(朝・昼・晩)規則正しく摂るように心がけましょう。食事を摂らない時間が長くなり過ぎると消化液が過剰に分泌され、膵臓に負担をかけてしまいます。また、肥満にもつながります。
低脂肪で消化の良い食事
膵炎は、消化酵素を含む膵液が過剰に分泌されることで起きてしまいます。適切な量の膵液が出るようにするために、脂質の過剰摂取や胃酸過多になる食事は避けましょう。特に外食時には注意が必要で、自炊する場合も脂肪分の多い食材や消化が悪い食材は日頃から控える意識が必要です。
腹八分目の食事
脂肪分を控え消化の良い食事を心がけていても、食べ過ぎては意味がありません。食べ過ぎは肥満を招き、急性膵炎・慢性膵炎の原因である胆石症を招きやすくなります。また膵臓ガンを発症するリスクも高めます。摂取カロリーを抑えるとともに腹八分目を心がけ、膵臓の働きを健全に保ちましょう。
減塩の食事
塩分の摂り過ぎも禁物です。塩分を摂りすぎると、塩分と水分の量を調節するために血液量が増え、血管に圧力がかかって高血圧になります。これは膵臓に負担をかけることになります。実際、これは膵臓の機能が低下している糖尿病患者に多く見られる症状です。また、塩分が多い食事は濃い味が多いため、エネルギーの摂取量も過剰になりがちで肥満につながる恐れもあります。インスタント食品やファーストフード、料理にタレやソース、醤油などをたくさんかけることは控えましょう。
適量の飲酒
一日に摂取するアルコールの量は20gが良いでしょう。これは厚生労働省が定めている適度な飲酒量でもあります。具体的には、日本酒(15度)1合、ウイスキー(43度)ダブル1杯、ビール(5度)中瓶1本に相当します。飲酒量の目安は「酔いの状態」で測ることもできて、適量は「ほろ酔い気分」です。ほろ酔い気分が過ぎると、立つ時にふらついたり、怒りっぽくなります。膵炎の原因として最も多いのは飲酒であることを肝に銘じ、節度を保った飲酒を心がけましょう。
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