赤ワインに健康効果はない?~フレンチパラドックスとポリフェノールの真実とは

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赤ワインは体に良いと言われます。これは、1990年代初頭に、フランスのセルジュ・レヌーという学者が、フランス人はチーズやバター、肉やフォアグラといった動物性の脂肪を大量に摂取しているにもかかわらず、心臓動脈硬化による死亡率が低いことを「フレンチパラドックス(フランス人の逆説)」と呼び、その理由を、フランス人が日常的に飲んでいる赤ワインに含まれるポリフェノールのおかげではないか、とテレビ番組で語ったことがきっかけでした。果たしてこれは本当のことでしょうか?ここでは、赤ワインの健康効果や、フレンチパラドックスの真実についてご紹介します。

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フレンチパラドックスに科学的根拠はない

実は、前述のフランスの学者セルジュ・レヌーは、自身が医学雑誌に発表した論文の中では、フランス人の心臓動脈硬化による死亡率が低い理由を、「ワインに有効成分が含まれている可能性が高い」と記述するにとどめています。つまり、「ポリフェノール」という言葉はもちろん、「赤ワイン」という言葉すらも使わない、慎重な言い回しをしているのです。

ではなぜ赤ワインがよいという話になったのでしょうか。これは、どうやら彼が子供の頃、祖父がボルドー地方でワイナリーを経営しており、90歳近い曾祖父と共にワイナリーで働き、夜は毎日赤ワインをたっぷり飲んでいたので、赤ワインが効いているのではないか、と考えたことが理由のようです。そこで、憶測交じりにポリフェノールの効能をテレビで語ってしまったのでした。

また、その後「赤ワインに含まれるポリフェノールの抗酸化作用は、年代の古いワインのほうが高い」という研究報告が発表されました。この研究発表は真実のようですが、これにより赤ワインの健康人気に拍車がかかることになったのでした。

フランス人の心臓動脈硬化による死亡率が低い理由

また、フレンチパラドックスに関しては大きなトリックがあります、フレンチパラドックスでは、フランス人の「心臓動脈硬化による死亡率が低いこと」がポイントになっていますが、そもそも、「心臓動脈硬化」とは、「心臓のまわりをとりまく血管にコレステロールや白血球が詰まり、血行が悪くなってしまうこと」を言います。血管が完全に詰まってしまうと、心臓は酸素不足になり、止まって死に至ります。

しかし、このような状態になると、実際は心臓が止まる前に、心臓以外の酸素を必要とする臓器にもさまざまな異常が現れます。そうなると、死因を心臓動脈の血流が悪くなったため(心臓動脈硬化)とするか、ほかの臓器が悪くなったため(多臓器不全)とするか、どちらかに判定しなくてはなりません。実は、フランスではこの死因の判定基準が他の国と異なり、死因を多臓器不全とすることが多く、これがフランスで心臓動脈硬化による死亡率が低い理由の一因なのです。

ただし、それを考慮しても、まだフランス人の心臓動脈硬化による死亡率が低いのは事実なのですが、どうやら、それはナッツ類や適度なアルコールの摂取が効果的であるということで説明がつくようです。

ポリフェノールとレスベラトールに関する迷信

赤ワインに含まれるタンニン(渋み成分)には、「ポリフェノール」という物質が含まれています。このポリフェノールには抗酸化作用があることで知られています。ポリフェノール自体はたしかに健康によいものですが、実はポリフェノールの抗酸化作用は、ビタミンCやビタミンAと比べると、ごくごく弱いものだということはあまり知られていません。

また、赤ワインに含まれるポリフェノールの一種である「レスベラトール」も健康に良い成分として注目されています。注目されたきっかけは、レスベラトールがサーチュインという長寿遺伝子を活性化する、つまり「ワインを飲むと長生きする」という研究発表です。しかし、ここにもショッキングな誤解があります。実は、この研究で使われていたレスベラトールの濃度はあまりに高く、一人で一日数十本から数百本のワインを飲まないと効果が現れないというものだったのでした。

レスベラトールの効果については、今なお完全な結論は出ていませんが、いずれにしても、ワインを飲んで長生きできるというおいしい話はない、と考えたほうがよさそうです。

心臓動脈硬化にならないための意外なポイントとは

ワインを飲んで健康になろうと考えていた方にとっては残念な結論になってしまいました。しかし、そう捨てたものではありません。

実は、ある研究者は、心臓動脈硬化にならないようにするには、人生の中で食事をどう位置付けるかが大切なことと主張しています。フランス、アメリカ、ベルギー、日本の大学生と社会人に、食事と健康との関係についてアンケートをとったところ、アメリカ人は食事と健康とを結びつける傾向が最も強く、楽しみととらえる傾向はもっとも弱かったとのこと。それに対して、フランス人は食事を楽しみと考える傾向がもっとも強く、健康と結びつける傾向がもっとも弱かったそうです。

ワインが食事をより美味しく楽しいものにするのは間違いないこと。ちなみに、ワインに限らず、お茶やコーヒーにも異なる種類のポリフェノールは含まれ、やはり健康によいと考えられています。案外、ポリフェノール自体が体によいのではなく、食事や飲み物を楽しむ心のゆとりが人を健康にするのではないでしょうか。

参考文献:「グルコサミンはひざに効かない」/著者:山本啓一/PHP新書
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運営者情報

健康&ダイエットNAVI 管理人

健康診断で脂肪肝を指摘されたことを機にダイエットを決意。さまざまな文献を読み健康的なダイエットを研究。糖質制限、有酸素運動(ボクシング)、筋トレ等の実践により、1年間で約17kg減、体脂肪11%減のダイエットに成功しました(管理人のダイエット体験談はこちら)。このサイトでは、ダイエットや健康に関するさまざまな有益な情報をご紹介しています。

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