【飲酒・喫煙者は要注意!】食道がんの症状・原因・予防法とは
食道がんはとても厄介ながんです。早期の症状はほとんど見られず、症状が現れたときにはかなり進行しているということ、治療が大変であること、他のがん(咽頭がん、胃がん、大腸がん、肺がん等)を合併する場合が多いこと、などがその理由です。ここでは、そんな食道がんの、症状・原因・予防法などをご紹介します。
食道がんの原因とは?
熱い・塩辛い・焦げた食べ物
食道は、食べ物や飲み物、ウイルスや細菌など、体内に入るさまざまなものが通る道です。食道を通るものから直接受ける物理的・化学的な刺激は、がんの原因となることがあり、例えば熱いものや塩辛いもの、焦げたものには注意が必要です。特に気を付けなければいけないのが熱いもので、食道がやけどすると粘膜が傷つき、細胞ががん化する可能性が高くなります。北海道や東北などの寒い地域は食道がんによる死亡率が高いですが、これは熱いものを好む傾向があるためと考えられています。
飲酒
飲酒は食道がんの第一原因とも言われています。これは、体内に入ったアルコールが分解したときの物質であるアセトアルデヒドが、食道に炎症を起こしてしまうためです。当然ながら飲酒量の多い人はよりリスクが高く、また飲むお酒のアルコール度数の高さも発症率に関係します。また、もともとお酒にあまり強くない体質の人がたくさんお酒を飲むと、リスクはさらに高くなりますす。
たばこ
たばこによる有害物質も、がんになりやすい環境をつくる一因となります。特にアルコールのエタノールとたばこのニコチンが合わさると、発がん性のニトロソアミンの生成を促進してしまいます。若い頃から毎日大量にお酒を飲み、たばこも吸う人は食道がんの危険に長期間さらされているため、発症の可能性は高くなります。
男性
食堂がんのリスクを抱えやすいのは女性よりも男性です。男性は女性より約6倍も多く、特に50歳以上の男性に現れます。理由は、食道がんを引き起こす大きな原因が飲酒や喫煙という点です。仕事のつきあいなど長年の飲酒習慣によってアルコールに対して抵抗力がつき、飲酒量が増えた中高年の男性ほど危険が高いでしょう。
生活習慣
飲酒や喫煙以外でも、さまざまな生活習慣が食道がんつながることがあります。例えば、栄養が偏っていることや肥満であること、野菜・果物が不足していることなどです。また、食道は胃や腸と同様にストレスの影響を受けやすく、ストレスも間接的に食道がんの発症に影響を与えていると言えます。
食道がんの症状とは?
初期の症状
一般に、最も早く現れる症状は食べ物が飲み込みにくくなることです。他にも、のどがつかえたり、チクチクするような痛みを感じたりします。熱いものや酸味のあるものを食べたとき、胸にしみる感じもあるでしょう。それでも、初期のうちは「なんとなく喉の違和感が感じる」程度であることが多いため、見過ごしてしまうことが多いのが実情です。
進行したときの症状
がんが少しずつ大きくなると、食道の内部が圧迫されるため、食べ物が通らなくなります。のどが詰まり大きなものが飲み込みにくくなり、食事の量が減っていきます。また、飲み物や唾液を飲み込むことも難しくなるでしょう。結果、栄養不足になって痩せていき体重も減少します。
転移したときの症状
食道がんは早い時期から転移しやすいがんの一つです。食道を超えて次第に周囲の神経に広がるため、リンパ節や血管、臓器など、転移した箇所特有の他の症状が現れます。例えば背骨に転移すると背中や胸が痛みますし、肺や気管支に転移すると咳が出たり声がかすれたりします。大動脈を巻き込むと、大出血や吐血も起こるでしょう。
食道がんに似た症状とは?
上で述べたように、食道がんの初期症状の一つはものが飲み込みにくくなるとことですが、似たような症状が現れる他の病気があるので紛らわしいことがあります。
食道裂孔ヘルニア
食道裂孔ヘルニアとは、食道が通っている孔が年齢とともに弱くなり、胃が食道側に膨らんでしまう病気です。エックス線検査で簡単に診断できます。
ヒステリーボール
「ヒステリー球」や「咽喉頭異常感症」とも呼ばれます。主にストレスなど精神的なものが原因で、のどに詰まった感じや異物感が生じます。検査をしても特に異常はみられないのが特徴です。
食道憩室
食道の蠕動運動の異常などが原因で、食道の壁が外側に膨らんでしまった状態です。のどがつかえるなどの症状があります。
食道潰瘍
食道壁に潰瘍ができている状態です。胸焼けがしたり、喉の違和感を感じたりするでしょう。
食道がんの予防法とは?
食道がんの予防に役立つのは、禁酒と禁煙です。できるだけ禁酒し、飲むのであれば飲酒量を減らすよう心掛けましょう。特に、お酒を飲んですぐに顔が赤くなる人は遺伝的にアルコールの分解力が弱く、分解過程でアセトアルデヒドが体内にたまりやすい人ですので、特に注意が必要です。また、たばこは百害あって一利無しですので、すぐにでもやめる努力をしましょう。禁煙外来を利用するのも有効です。
熱いものや辛いものなど刺激のあるものの飲食もなるべく避けましょう。特に、塩漬けのベーコンやハムなどは、塩辛い上に、体内に入るとニトロソアミンという発がん性物質が作られてしまうので食道がんにはよくありません。逆に、ビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富な野菜をたっぷり摂ってください。また、肥満や運動不足を解消するため、日常生活でこまめに動きましょう。
まとめ
食道がんは、数あるがんの中でも特に症状が出にくいのが特徴です。飲み込みにくい、食事がつかえるなどの自覚症状が出てきたときは、がんはかなり進行した状態です。また、進行すると治療が難しく、食道のあちこちに発がんして、がんが他の臓器に重複してできるという厄介さもあります。毎日の生活で予防することを心がけるとともに、定期検診を受け早期発見に努めましょう。少しでも違和感を感じたときは、一度検診を受けてみることをおすすめします。