腹筋を毎日やってはいけない5つの理由
「最近お腹が出てきたので腹筋しないと」と思っている人は多いのではないでしょうか。実際に「毎日○○回」と腹筋運動をしている人も少なくないと思います。ところが、フィットネスエキスパートでBUILTLEAN代表のマーク・ペリー氏が、自身の運営するWEBサイトで、興味深いことを語ってます。
「仕事柄、腹筋のトレーニングについてさまざまな質問をされることがありますが、『毎日腹筋していいですか?』『毎日腹筋するべきですか?』この2つが最も多い質問です。この質問に簡単に答えるなら、『毎日腹筋するなとはいいません。しかしおすすめはしません』
果たしてなぜ腹筋を毎日やることがおすすめできないのか?ここでは、マーク・ペリー氏が語るその5つの理由についてご紹介します。(以下翻訳部分)
毎日腹筋しなくても6パックは作れる
ブルガリアのウエイトリフティング選手にIvan Stoitsovという選手がいます(2007年世界選手権77kg級優勝)。彼は腹筋運動は全くしていないのですが、腹筋は美しい6パックです。腹筋運動をする目的が、「6パックを作るため」、あるいは「強い体幹を作るため」という人は多いですが、これは非常に大きな誤解です。強い体幹を備えた美しい6パックは、いわゆる腹筋運動ではなく、体幹を使うさまざまな動的運動、例えばバーベルやダンベルを使ったフロントスクワット、ダンベルランジ、負荷の高い腕立て伏せなどによっても手に入れることができます。あるいは、プランク(フロントブリッジ)など静止系の体幹トレーニングも、腹筋のみならず、バランス、腰、腕、肩などさまざまな箇所を同時に鍛えることができるので有効です。
毎日腹筋すると姿勢が悪くなる
私がトレーニングを担当した顧客は、程度の多少こそあれ、例外なく全員が姿勢に問題がありました。これは主にデスクワークが原因ですが、デスクワークでない方も、1日数時間椅子に座っている人は誰でも、肩が前方に出た姿勢、いわゆる猫背になりがちです。
さて、ただでさえこのような問題を抱える現代人が何十回、何百回という腹筋運動を毎日行うとどうなるでしょうか?実は、この問題は改善するどころか、さらに悪化するのです。なぜなら、腹筋を無理に縮めることによって、背中はさらに丸まろうとするからです。丸まった背中や肩を伸ばし、姿勢を改善するには、ストレッチやフォームローラー(楽天検索結果)が有効です。
毎日腹筋してもお腹はへこまない
体の特定の部分の脂肪を落とす、いわゆる「部分痩せ」を求める人は多く、健康・フィットネス業界にはこのニーズにつけこんださまざまな嘘が蔓延しています。例えば、「お腹に巻くベルト」や「腹筋マシン」等々、さまざまな腹筋グッズが、「お腹をへこませる」ことを謳っていますが、腹筋運動にはお腹の脂肪を落とす効果はありません。実際、私も「どうやって6パックを作ったらいいですか?」と聞かれることがよくありますが、私はそんなとき必ず「腹筋運動はしないでください」と答えます。6パックを作るには何よりも体脂肪を落とすことが必要で、これには、どんな腹筋運動をするか、あるいは何回腹筋運動をするか、などということは全く関係がありません。腹筋をする時間があったら、むしろ健康的な食事のプランを考えたり、食事を作ったりする時間に充ててください。腹筋を鍛えるのであれば、体幹、もしくは体幹を使った複合運動のほうが効果的で、昔ながらの腹筋運動(クランチ等)明らかに過大評価されています。
毎日腹筋するのは効率が悪い
6パックは、世界共通で美しい体の象徴ですが、そのために腹筋を鍛えることは必ずしも必要ではありません。例えば仮に腹筋運動を毎日10~20分やっている人がいたとしましょう。同じ時間を何か運動に費やすなら、むしろ、高強度インターバルトレーニング(HIIT)、ストレッチ、フォームローラー等々、もっと有益な運動は他にいくらでもあります。そのほうが、見た目も体の中身もより大きな効果を感じられるはずです。体中に張り巡らされた複雑な筋繊維の中で、1つの筋肉群にすぎない腹筋(腹直筋)を鍛えることに週に1時間も費やすのは、時間の使い方としてあまり有効とは言えません。その1時間は、友達と過ごしたり、趣味に充てたり、もっと生活を楽しむために使ったほうがよいでしょう。
おすすめは、私自身も実践しているのですが、週に2~3回、短時間でより強度の高い腹筋のサーキットトレーニングを行うことです。単純な腹筋運動では、単なる1つの筋肉群である腹直筋のみを鍛えることしかできませんが、他のさまざなな筋肉も同時に鍛えることによって、トレーニングの頻度は低くても筋肉はより大きい反応を示します。1つの筋肉群という点で、腹筋によく似ているのがふくらはぎです。ふくらはぎを毎日鍛える人はいませんよね。
毎日腹筋すると筋肉のバランスが悪くなる
毎日腹筋運動をすると姿勢が悪くなると前述しましたが、それだけでなく、筋肉のバランスも悪くなります。腹筋とは、腹直筋(ふくちょくきん)、外腹斜筋(がいふくしゃきん)、内腹斜筋(ないふくしゃきん)、腹横筋(ふくおうきん)という4つの筋肉群から成り立っています。もし仮にあなたが昔ながらの腹筋(クランチ)を1日300回毎日やったとしたら、4つの腹筋の筋肉群の中で腹直筋だけが飛びぬけて鍛えられることになってしまいます。これは決してバランスのよい理想的な腹筋とは言えません。それでころか、他の筋肉を鍛えずに腹直筋ばかり鍛えていると、怪我をしやすくなります。