骨粗鬆症(骨粗しょう症)になる原因と予防法とは?
骨粗鬆症~男性よりも女性に多い理由
女性は、基本的に男性よりも骨量が少ないため、骨の健康には特に注意が必要です。骨密度は20〜30歳代で最大になり、50歳を過ぎると、男性も女性も多少なりとも減少がみられます。それでも、大きな減少が見られない男性に対し、女性はそれまでの半分ほどまでに減ってしまいます。
また、骨粗鬆症が起こり始める年齢も、男性より女性の方が圧倒的に早く、男性は80歳頃から増加するのに対し、女性は60歳頃から激増します。その原因として挙げられるのが、女性にとって「骨の曲がり角」とも呼ばれる閉経です。女性は、20歳代に最大骨量が700〜800gとピークを迎えますが、それ以降、女性ホルモンのエストロゲンが徐々に減少すると共に骨量は減少します。
さらに、女性ホルモンの分泌がなくなる閉経後5年~10年くらいの間に、骨量はさらに急速に減少します。老年期になると落ち着きますが、その頃には骨の密度は著しく低下し、細かい穴がたくさんあいた状態になってしまっています。そのため、骨は強度を保つことができず、ちょっとした衝撃でも骨折してしまいます。
骨粗鬆症~女性ホルモンの役割
閉経後に骨量が減ることからも分かるように、女性ホルモンと骨の健康との間には密接な関係があります。通常、体はカルシウム不足によって血液中のカルシウムが少なくなると、副甲状腺ホルモンが骨を削り、カルシウムを取り出して血液中に補充するよう指令を出します。逆に、骨を削るのをやめるようにという指令を出すのが、甲状腺から分泌されるカルシトニンというホルモンです。
女性ホルモンは、これら二つのホルモンに共に作用します。つまり、骨を削る副甲状腺ホルモンの働きを抑制し、逆に骨を削るのをやめさせるカルシトニンの働きを活発にすることによって、骨が弱くなってしまうのを防いでくれます。
また、カルシウムとともに、ビタミンDも骨を強くするために必要な栄養素です。ビタミンDは、食べ物から摂取したり、日光にあたることにより体内で作られますが、そのままではほとんど働きません。そこで活躍するのがまたしても女性ホルモンです。女性ホルモンは、体内に取り入れたビタミンDを、カルシウム吸収に欠かせない、活性型ビタミンD3に変換し、骨を強くすることを助けてくれます。
骨粗鬆症~日本人の特徴
飽食の日本は、一見栄養豊かな食事をしていますが、調べてみると、1日600gとされるカルシウムの必要所要量は満たしていないのが現状です。実際、1日の各種栄養素の所要量を100%とすると、ビタミンA、B1、B2、C、鉄、たんぱく質などの充足率は100%以上ですが、カルシウムは下回っています。
その理由としては以下のようなことが挙げられます。
- 日本の土壌が、カルシウムなどのミネラルの含有量が少なく、軟水である水道水からのカルシウム摂取が難しいこと
- カルシウムが多く含まれている牛乳や乳製品の摂取が外国の人に比べて少ないこと
- カルシウムを摂取しやすい小魚や海藻類などからの摂取量が少なくなっていること
- 偏食や朝食抜きなどの食生活の乱れからくる栄養バランスの崩れ
骨粗鬆症~カルシウムの吸収率
食品から摂り入れたカルシウムの吸収率には違いがありますので、食品や食べ方を工夫して効率良くカルシウムを摂りましょう。体内への吸収率が約50%と最も高いのが牛乳や乳製品。次いで高いのが小魚や海藻類です。
緑黄色野菜にもカルシウムは比較的豊富に含まれますが、食物繊維が多いために吸収率が高くありません。そこで、たんぱく質や炭水化物、ビタミンDを多く含む食品と一緒に摂ることによって吸収率を上げることができます。また、乳糖やカゼイン、アルギニンやリジン、トリプトファンなどのアミノ酸をとることによっても吸収率は上がります。
逆に吸収率を悪くするものは、食物繊維やシュウ酸、油脂や濃い糖分、塩分などです。また、骨の材料となるリン酸も、多く摂り過ぎると、骨を削るようにと指令を出す副甲状腺ホルモンの分泌が促され、骨が弱くなってしまいます。普通の食事をしていればこれらを摂り過ぎることはまずありませんが、スナック菓子や炭酸飲料、インスタント食品や加工食品には多く添加されていますので、気を付けましょう。
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