お腹にまいて電気ブルブルとやっているダイエット器具を見かけることがあると思います。「こんなもので本当に効果があるのか?」と思っている人は多いのではないでしょうか?管理人自身、この手の器具には懐疑的な見方をしていたのですが、クリスティアーノ・ロナウドが開発に携わったという「シックスパッド」という商品の存在を知って驚きました。
ロナウドの年収は97億円とも言われています。もちろんこの商品についてもそれなりの広告料はもらうのでしょうが、だからといってロナウドほど地位も名声も築き上げた超一流アスリートが、胡散臭い商品に関わるとはちょっと考えられません。そこでこの「シックスパッド」という商品に非常に興味を持ち、この手のブルブルマシンについていろいろ調べてみました。
正式名称は「EMS」
いわゆる「ブルブルマシン」の類は、正式には「EMSマシン」と呼ばれます。「EMS」とは、Electrical Muscle Stimulation(電気的筋肉刺激)の略で、自発的に自分で運動するのではなく、EMSマシンから流れる電気の刺激により、外からの刺激で他動的に筋肉を動かす運動を意味します。
実用化されたのは1960年代。当初は、主に筋肉が弱ってしまった患者の医療用リハビリ用途でしたが、一般の方のシェイプアップや旧ソ連のスポーツ選手の筋力アップにも使われるものもあったそうです。かなり初期の段階から、確実に結果が求められる医療やスポーツの分野で使われていたという事実は注目してよいと思います。
EMSの利点1〜自分の意思がなくても鍛えられる
人間は、筋トレの目標回数を定めても、疲れてくると運動を続けられないものです。これはなぜかというと、人間は脳からの司令が運動神経を通って筋肉に届くため、疲労の限界に達すると、大脳からの電気信号が止まってしまい、骨を動かす筋肉が収縮しなくなるからです。
一方、EMSは、体の外から刺激が加わることによって筋肉の収縮が行われるため、脳の意思とは関係なくトレーニングを続けることができます。つまり座っていても、横になっていても電気刺激により強制的に筋肉を動かすことができるのです。これは最も大きなメリットと言えます。
EMSの利点2〜気になる部分を集中して鍛えることができる
トレーニングが好きな人であっても、筋肉にはどうしても鍛えやすい部位と鍛えにくい部位が存在します。例えば、胸の筋肉はベンチプレス等のトレーニングで比較的簡単に大きくできますが、背筋は使い方や意識の仕方が難しく、鍛えるのが難しいです。あるいは、人によって鍛えるのが楽しい部位とそうでない部位というのも存在します。例えば、胸の筋肉を鍛えることは苦にならなくても、腹筋運動をするのは嫌いという人もいるのではないでしょうか。その点EMSは、電気刺激を受けている部分のみに効果を発揮するため、気になる部分を集中的、且つ効率的に引き締めることができます。
EMSの問題点~周波数について
EMSの電気刺激には周波数というものが存在します。簡単に言うと、高い周波数は振動が多く、低い周波数は振動が少ないのです。一見、周波数が高ければ高いほど筋肉を多く動かしてくれて効果が大きいのではないかと思われますが、実はそう単純ではないようなのです。
EMSのトレーニング効果について30年以上研究を行っている、京都大学大学院の森谷敏夫教授という方がいます。森谷教授は、「トレーニングにとって効率的な周波数は20Hzである」という論文を発表し、世界をあっと驚かせました。20Hzという数字は、かなりの低周波数です。
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筋トレをするときを思い浮かべてみてください。筋肉にぐっと力が入りますよね。森谷教授曰く、あまりに高い周波数の振動は、人間が自分では動かせないスピードであるため、筋肉に力が入らないそうなのです。
最近よく見かけるEMS機器の周波数は以下の通りです。
商品名 | 周波数(Hz) | 価格(円) |
---|---|---|
SIXPAD(シックスパッド) | 20 | 25704 |
パーフェクト4500HOT | 4000~4500 | 151200 |
スレンダートーン | 50~70 | 32076 |
アブトロニックプレミアム | 1~100 (正式には非公表) | 7980 |
「SIXPAD」がまさにその20Hzです。高周波数のものが全く効果がないということはないでしょうが、低周波数のものに比べると、筋トレの効果は小さいと思われます(体をまったく動かせないような筋肉の弱った方のためのリハビリ用途としては、それなりの意味があるのかもしれませんが)。
EMSで部分痩せできる?~EMSの効果的な使い方とは
では、「EMS機器を貼り付けた部位は果たして痩せるのか?」、これは多くの人が気になっている疑問ではないでしょうか?これは、EMSがどうこうと言うよりも、「果たして部分痩せは可能か?」という議論になります。
結論から言うと、部分痩せについてはまだはっきりと実証されていないことが多いようです。部分痩せについて、参考になるのは東大理学博士であり自身もボディビルダーの石井直方教授の見解で、彼自身、以下のような2つの見解を述べています。
これらの点については、まだ実証されたわけではありませんが、(中略)当然よく動かした筋の近傍にある脂肪は落ちやすいことになります。つまり、「部分やせ」が可能なことになるでしょう。
(http://www.webleague.net/)
さらに、腹部と大腿部の皮下脂肪それぞれの組織で、遊離されるグリセロールの濃度を調べました。その結果、成長ホルモンの投与によって「腹部の脂肪のほうが大腿部の脂肪に比べ、多くのグリセロールを遊離する」ことが確認されたのです。
(『ジムに通う人が知っておきたいトレーニング科学』 【参考記事】)
前者では、「まだ実証されたわけではありませんが」と断った上で、「鍛えた部位の周辺は痩せる」「部分痩せは可能」と言っています。一方、後者では、「太ももよりもお腹のほうが脂肪が落ちやすい」、つまり「お腹は部分痩せしやすいが、太ももの部分痩せは難しいのではないか」ということを述べています。他の部位については言及していません。
部分痩せのことはいったんさておき、低周波数のEMS機器であればたしかに筋肉を鍛える効果はあるでしょう。そして、体のどの部位にせよ筋肉が増えれば代謝が上がるので、たしかに脂肪燃焼効果は上がります。しかし、増えた筋肉が目に見えて分かるほどに脂肪を燃焼してくれるには、それなりに長い時間がかかるのではないでしょうか。もし筋肉をつけるだけでなく、痩せたいと思うのであれば、並行して食事制限を行うのが賢い方法です。
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「シックスパッド」の商品詳細(楽天市場|Amazon)をご覧ください。「引き締める」という表現を使っている箇所はありますが、「脂肪を落とす」とか「○kg減」とか「部分痩せ」などと謳っていないところが非常に誠実だと思います。まぁ、「シックスパック」のロナウドをCMに使って「シックスパッド」という商品名にすること自体がズルいと言えばズルいのですが(笑)
藤田ニコルも使用
日本テレビで2017年7月5日(水)に放送された「1週回って知らない話」で、藤田ニコルがシックスパッドを使っていることが判明しました。
出典:https://twitter.com/0220nicole
ニコるんの美ボディにはシックスパッドも一役買っていたのですね。ただし、ニコるんはストイックな食事制限や週4回のジム通いも並行して行っていることをお忘れなく!
まとめ
キーワードは低周波数(20Hz)です。そして、現在市販されているEMS機器の中では、「SIXPAD(シックスパッド)」が断トツで信頼性のある商品のように見受けられます。
ただし、「腹筋を割りたい」あるいは「部分痩せ」をしたいと考えている方は、食事制限を並行して行うと効果がより早く目に見えるはずです。