2015年11月18日(水)放送のバイキングで、白ワインの美容・健康への効能が紹介されていました。解説してくれたのは、アンチエイジング医学の専門家、横浜クリニック院長の青木晃医師です。ここではその要点を分かりやすくまとめてご紹介したいと思います。
腸内フローラと便秘の関係
結論から言うと、白ワインの主な効果は「便秘解消」です。ではそもそも、人はなぜ便秘になるのでしょうか?
一つには、食物繊維の摂取が足りないこともありますが、青木先生によると、腸内フローラのバランスが悪くなっていることが便秘の最も大きな原因とのことです。「腸内フローラ」とは、腸に棲むさまざまな細菌(1000種類以上)のことで、顕微鏡で見ると花畑(フローラ)のように見えることから、そう呼ばれています。
腸内フローラは大まかには「善玉菌」「悪玉菌」「その他の菌」の3つがあります。そしてその理想的なバランスは「善玉菌:悪玉菌:その他の菌=2:1:7」。興味深いことに、バランスを保つためには悪玉菌も多少は必要だそうです。
しかしその悪玉菌が増えすぎるのはもちろんいけません。悪玉菌が増えるということは、腸内フローラのバランスが崩れることを意味します。そして腸内フローラのバランスが崩れると便秘が起こるのです。
白ワインの便秘解消効果
そこで、その便秘の解消に効果があるのが白ワインです。ではなぜ白ワインにそんな効果があるのでしょうか?
その鍵は、白ワインに含まれる二つの成分、「有機酸」と「アルコール」です。
「有機酸」とは聞きなれない言葉かもしれませんが、簡単に言うと「酸っぱい成分」のこと。この有機酸に殺菌効果があり、悪玉菌を殺してくれるのです。それによって、増えてしまった悪玉菌が減少し、腸内フローラのバランスが前述の「2:1:7」に戻ることによって、便秘が解消されるというわけです。
この有機酸は、レモンや梅干しにも含まれているのですが、白ワインのほうが効果的です。なぜなら、レモンや梅干しとは違い、白ワインには「アルコール」も含まれているからです。皆さんご存知のように、アルコールにも殺菌作用があり、有機酸とアルコールの殺菌作用が相乗効果を発揮します。
こう言うと、「レモンサワーにも有機酸とアルコールがあるじゃないか?」と思う人もいるかもしれませんが、青木先生によると、レモンサワーは白ワインと比べると酸の量が圧倒的に少なく、また白ワインは有機酸とアルコールのバランスもよいために、やはり白ワインが便秘解消に最も理想的な飲み物とのこと。実験では、なんと10万個の悪玉菌(大腸菌、サルモネラ菌)を白ワインに約10分漬けたところ、これらの悪玉菌は全滅したそうです。
白ワインのその他の効果
白ワインの効果はただの便秘解消にとどまりません。
まず、女性の方ならよくご存知のことかもしれませんが、便秘が解消されるということは、美容の上で非常に重要です。便秘が解消されると、腸内に溜まった毒素が排出されます。それによって、ニキビや肌荒れが解消される、つまり美肌効果があるのです。
また、白ワインには、利尿作用のあるカリウムが多く含まれています。カリウムは体内の不要な水分を排出する効果があり、これによって、むくみの解消、やせやすい体質になるなどのダイエット効果もあります。
ちなみに、ワインというとどちらかと言うと、赤ワインを好む人のほうが多いのではないかと思います。赤ワインにはポリフェノールが多く含まれ、アンチエイジングに効果的なのですが、こと便秘解消という観点では赤ワインは逆効果になります。なぜなら、赤ワインには渋みの成分であるタンニンが含まれ、タンニンには下痢止めの作用があるからです。つまり便秘の人が赤ワインを飲むと、便秘が悪化してしまうのです。これはあまり知られていない要注意のポイントです。
白ワインの楽しみ方
というわけで、赤ワインが好きな方でも、便秘がちの場合はなるべく白ワインを多く飲むよう心がけましょう。
「いつ飲んだらよいか?」については、寝る前に飲んでも構いませんが、ワインは食中酒ですので、食事中に飲むのがおすすめです(効果的にも問題はありません)。ワインを飲む時は、一般的に「白から赤へ」という流れがありますが、ワインと料理との相性を考えた場合、実は赤ワインよりも白ワインに合う料理のほうが圧倒的に多いです。例えばフレンチのフルコースを想像してみてください。赤ワインに合う料理はメインの一品だけで、前菜に始まりメインの一つ前までの料理はどれも白ワインのほうが合う場合が多いです。料理に合わせて自然体で白ワインを楽しみましょう。
また、シャンパンなどのスパークリングワインがお好きな方も多いと思いますが、白のスパークリングであれば、これも白ワインの仲間なのでOKです。
しかし、中には白ワインがどうしても苦手な方、あるいはワイン自体が苦手な方もいるかもしれません。そんな方には「サングリア」がおすすめです。メイソンジャーなど口の大きい瓶に、リンゴ、オレンジ、キウイ、バナナなどのお好みのフルーツを適当な大きさに切って入れ、白ワインを注いで一晩ほど漬けこめば完成です。果汁でアルコールが薄まると共にフルーツの自然な甘みがプラスされて、断然飲みやすくなります。甘みを足したい人はグラニュー糖やハチミツを加えたり、シナモンやクローブなどの香辛料を加えると一味違った美味しさになります。
白ワインの選び方や飲み方の注意点
便秘解消という観点では、有機酸がより多い、簡単に言うと、酸味がより豊かなワインのほうが効果が大きくなります。その意味で、最もおすすめなのは「リースリング」というブドウ品種のワインです。リースリングはドイツやフランスのアルザス地方などの寒冷地に多く栽培されています。一般的に寒冷地で育ったブドウは酸が豊かになりますが、その中でもリースリングは特に酸が豊富な品種です。また、これは辛口・甘口を問いません。例えばドイツのリースリングには甘口が多く、酸味を感じないかもしれませんが、実はこの甘みはアルコール度数を低くしてその分を甘みにしているだけであって、甘みの裏側にはしっかりとリースリング本来の酸があるのです。
逆に温暖な地域のブドウは酸が少なくなります。例えば、最も有名な白ブドウ品種に「シャルドネ」というものがあります。シャルドネは世界中で栽培されていますが、その中でもチリなど温暖な地域のものが市場には多く出回っており、概してリースリングよりも酸は少なめです。それでも、どの白ブドウ品種にもそれなりに有機酸は含まれていますし、カリウムに関してはブドウ品種を問いませんので、どんな白ワインも健康と美容には一定の効果があると言えます。
また、白ワインを飲む頻度としては毎日がおすすめです。白ワインは、適度な水分と共に「有機酸」と「アルコール」を効率的に摂取できる飲み物で 飲めば飲むほど便秘解消には効果的です。何事も一朝一夕で効果が出るものはありません。継続は力なり。体質改善のためにも、飲むと決めたらなるべく毎日飲み続けましょう。とは言え、もちろん飲み過ぎは体によくありません。適量は一日ワイングラス2杯(200ml)です。
【関連記事】
便秘解消に即効性有り!~ゼリーのサプリ「善玉元気」の効果を検証【初日】
便秘を招く意外な13の原因
お酒の糖質・カロリー・適量 比較一覧表