肥満症と肥満の違い
「肥満症」をご存知でしょうか?「肥満」と混同されがちですが、肥満と肥満症は異なるもので、それぞれ医学的にはっきりとした診断基準があります。
まず肥満とは、脂肪組織が過剰に蓄積した状態のことで、BMI(ボディ・マス・インデックス)と呼ばれる体格指数の数値で判定します。計算方法は、
体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)(例:体重65kg、身長170cm(=1.7m)の場合、BMI=65÷1.7÷1.7=22.5)
で、この数値が25以上になると肥満と判定されます。
一方、肥満症とは、BMIが25以上の肥満状態に加えて、肥満が原因で何らかの健康障害を起こしていたり、医学的な減量が必要なレベルの肥満の場合のことを言います。
肥満症が伴う健康障害には、糖尿病や高血圧、痛風や脂肪肝、脳梗塞や心筋梗塞、女性特有の月経異常や肥満妊婦などがあります。他にも骨や関節の疾患や睡眠時無呼吸症候群など、複数の病気が伴うこともあります。
肥満症の治療方法について
肥満症の治療は、基本的に食事療法と運動療法の二つです。どちらか一方ではなく、この両方を組み合わせて行うことが大切です。
食事療法~栄養バランス
栄養バランスを考えた食事を摂ることが大切です。毎回の食事で必要な主食、主菜、副菜をまんべんなくきちんと摂るよう心がけ、肉や魚は脂肪の少ない部位や種類を選ぶようにしましょう。
油を使う揚げ物や、マヨネーズなどのドレッシング類は控えめにし、茹でたり蒸したりする料理法を活用してカロリーを抑えるよう工夫しましょう。
また一日に200ml程度の牛乳やヨーグルト、バナナ1本程度の果物を摂るのもおすすめです。果物は甘いので太ると考えられがちですが、ビタミンや食物繊維などの栄養素が豊富に含まれていますので、適量であれば問題ありません。エネルギー摂取量を気にし過ぎるあまり、食べる量を極端に減らしたり偏った物しか食べないといった食事は、必要な栄養を摂取できなくなるため避けるべきです。
食事療法~食事パターン
栄養バランスを考えた食事を摂っていても、食べるタイミングや回数によって逆効果になることもあります。まず、朝、昼、晩、一日3回規則正しく食事を摂ることが重要です。食事を抜いてしまうと、逆に脂肪を蓄えやすい体質になってしまいますし、ドカ食いやまとめ食いを引き起こすおそれも高くなります。
夜遅くに摂る食事も肥満につながります。寝る前2、3時間前の食事は控えるとともに、夕食の時間が遅くなったら量を軽めにするなどの調整をしましょう。
また一日のうちでダラダラと食べるのも、量が多くなったり栄養バランスが乱れたりしやすいのでいけません。いつ、どんなものを、どれくらい食べたのかなどの食事の記録をつけると、改善点を見つけやすくなり規則正しい食事パターンを身に付けるのに役立ちます。
運動療法
食事で摂ったエネルギーを消費するための運動も大切です。どんな運動も肥満症を改善する効果はありますが、特におすすめしたいのが筋力を鍛える運動です。筋肉の量が増えると代謝がよくなるため、日頃から体脂肪を燃焼しやすい体質になりますし、減った体重が元に戻ってしまうリバウンドも抑止できます。
一日にどのくらいのエネルギーを消費すればよいかは、人それぞれの一日の活動量などによって異なりますが、一日に必要なエネルギーの目安はあります。算出方法は以下の通りです。
身長(m)×身長(m)×22=標準体重(kg)
⇒ 標準体重(kg)×25=適正エネルギー(kcal)(※1kg当たり20〜25)
例:身長170cmの場合
1.7×1.7×22=63.58
⇒ 63.58×25=1589.5(kcal)
食事による一日の摂取エネルギーを少なくすると共に、運動を行い消費エネルギーを増やすことによって、効果的に減量し、肥満症を改善することができます。