『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事
ここでは、筆者の主張に則る形で、シリコンバレー式「完全無欠ダイエット」が、従来のダイエット常識とは異なる興味深いポイントをご紹介します。
意志は強くなくてもよい
ダイエットというと、一般的には、意志の強さや努力が必要と思われています。しかし、ダイエットは「意志の強さ」に頼るべきではありません。なぜなら、意志の力とは限りある資源であって、誰しも意志力を使い果たしてしまうことはありうるからです。
そこで、ダイエットでは「意志力を無駄遣いしない」ということが重要になってきます。そのためには、食べてよいものと悪いものを知ることが必要です。「よいもの」を食べ、逆に「悪いもの」を避けることによって、無駄な食欲が抑えられると共に、細胞には栄養が行き渡り、ホルモンバランスが整えられ、食べ物の欲求との闘いをやめることができるのです。
空腹は我慢しなくてもよい
「空腹感」との闘いはダイエットの大きな肝です。多くのダイエッターは、空腹を無理に我慢したり、あるいはお腹が空いたら低カロリー食を食べて空腹感をごまかす、などということをやりがちですが、これは効率の悪いことです。
空腹感は、体内で作られるホルモンに左右されており、「空腹を感じるホルモン」を管理することがダイエット成功の秘訣です。具体的には、フルーツの主要な糖分である「果糖」を控えることによって、空腹ホルモン「グレリン」を抑えることができ、空腹感を抑えることができます。
低脂肪ダイエットはやめよう
低脂肪の食品は体に良いと考える人が多いようです。しかし考えてみてください。食品から脂質を除去するには、何かで置き換えなくてはいけません。その選択肢は「糖」か「たんぱく質」の2つですが、現実には、たんぱく質よりも安く、味もよい糖がたっぷり加えられています。
尚、低脂肪ダイエットが広まったのは、1950年代のアンセル・キーズという科学者が「飽和脂肪酸は心臓病の原因になる」と主張したのがきっかけでした。しかし、この研究では都合の悪いデータが排除されており、科学的裏付けがないことが後年明らかになっています。
脂肪は食べても痩せられる
脂肪はダイエットの敵と考える人が多いですが、食物脂肪はグラム当たりのエネルギー量が他の栄養素よりも多く、体にエネルギーを与えるのに最も効率的。しかも、糖やたんぱく質と比べてインスリンに与える影響も少なく、正しい種類の良質な脂肪を摂れば、体重は増えるどころかむしろ減ってくれます。
正しい脂肪はクリーンに燃焼され、栄養たっぷりで、満足感をもたらし、体も脳も最大限に機能させてくれます。脂肪は人間の細胞壁の成分でもあり、体温調節や受精能力に役立ち、また脂溶性の各種ビタミンを体に吸収するためにも必要です。
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カロリーの減らし過ぎは禁物
一般的には「消費カロリーより摂取カロリーを減らすこと」がダイエット成功の条件と考えられています。しかし、この方法は一時的には成功するかもしれませんが、短期集中で行った場合は特に、空腹ホルモンや代謝など乱され、通常食に戻ったらリバウンドしやすいもの。カロリー制限が必ずしもダイエット成功につながるとは限りません。また、アメリカ産の食肉牛は、女性ホルモンであるエストロゲンを投与することによって、30%少ないカロリーで太らせられており、このことも、体重が増えるか減るかはカロリー以外の要素に左右されるということを示しています。
実は、人間のカロリー消費の50%程度は、室温、睡眠、態度、呼吸などに関連しており、正確に追跡することはできません。カロリー制限を考えるよりも、食品の質と摂取する栄養素を改善することによって、体は本来の働きをし、脂肪燃焼と栄養吸収がよくなって、自然にカロリー摂取を調整してくれるのです。
フルーツは控えめに
「野菜と果物」はまるで1つの単語かのように、健康的な食べ物の代名詞になることが多いですが、実は野菜と果物はまったくの別物。果物はむしろキャンディに近い食べ物です。果物の問題点は、「果糖(フルクトース)」をたっぷり含んでいること。果糖は、ブドウ糖かまたは中性脂肪に変換され、中性脂肪はもちろん体脂肪として体に蓄えられます。それだけでなく、たんぱく質や脂肪、あるいは他の種類の糖とも違って、摂ったあとに食欲を抑えてくれない(満足感を得られない)ので、過剰に摂取しやすいという問題もあります。
さらには、体内のコラーゲンと結び付くことによって、AGE(終末糖化産物)という物質を作り出し、体に酸化ストレスを与えて老化を進める、また、腸内の悪玉菌を増やす、痛風を引き起こす、などさまざまな問題があります。
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運動は短時間で十分
カロリー消費が体重減と直結すると考える人が多いですが、「過剰な運動はむしろ体重を増やす」という意外な事実があります。これは、あまりにきつい運動をすると体がストレスを感じて、体内のコルチゾール値を上昇させます。コルチゾールは、血糖値を上げ、骨や筋肉の形成を抑制するホルモンなので、体重増加や筋肉の減少を招いてしまうのです。ダイエットにおいては、運動よりも食事のほうがはるかに重要。運動は必須ではありません。
もし運動するなら、おすすめは、週に1回、1回に15分程度の「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」をすることです。具体的には、30秒全力で走ったら90秒休む、ということを15分間繰り返します。これによって成長ホルモンがたっぷり分泌され、脂肪燃焼・パフォーマンス強化・アンチエイジングなどさまざまな効果があります。15分の高強度インターバルトレーニングは、1時間のジョギングよりも効果的です。
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コーヒーを飲もう
コーヒーと健康に関する研究はいろいろあり、体に良いという人もいれば悪いという人もいます。結論としては、コーヒーは基本的にはスーパーフード。どんなコーヒーであっても、集中力、記憶力、パフォーマンスを高め、腸内の善玉菌を増やしてくれます。また、脳卒中や糖尿病のリスクを減らすとする研究もあります。
コーヒーの唯一の問題は「カビ毒」。多くの国が安全基準を設けていますが、低価格なコーヒーはしばしば自然発生のカビが生えていることがあり、どんなコーヒー豆を選ぶかはとても重要になります。選ぶコツとしては、単一産地の豆にこだわったほうがカビ毒のリスクは少ないということ。また中米産のコーヒーは他の地域よりも毒性が低いようです。
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塩分はしっかり摂ってよい
「塩分の摂り過ぎは高血圧を引き起こす」と言われます。しかし、最近の研究では、このことは、すでに高血圧の人だけに当てはまることで、低塩ダイエットはむしろ体に害になるということが定説になりつつあります。また、高血圧自体、塩分の問題のみならず、カルシウム、マグネシウム、カリウムの不足などさまざまな要因が考えられます。
言うまでもなく、塩分は人間にとってなくてはならないもの。人間は、ストレスがあるときにこそ塩分を必要とします。逆に、絶えず塩分量を下げるよう追い込むのはストレスになり、インスリン抵抗性が上がり、中性脂肪値の上昇、ひいては肥満を招くという研究があります。さらには心臓発作のリスクも高くなると言われています。
食は徹底的なこだわりを
世間では「何事もほどほどに」と言われますが、食べ物に含まれる有害なものに関しては、ほどほどの量などなく、どんな小さなものも必ずパフォーマンスに影響すると考えるべきです。
もっとも、現実的には、パフォーマンスを向上させないハイリスクなものと分かっていても、大好物だからたまには…と食べてしまうことはあるでしょう。それでも、少しでもパフォーマンスのためになる食品を多く摂り、ためにならない食品を摂らないように心がけることが重要です。そのためには、まずどの食品がためになり、どの食品がためにならないかを知らなければなりません。