痛くなってから気づくことが多い股関節の痛み。特に日本人には変形性股関節症が多いため、痛みを感じたら早めに対処することが必要です。ここでは、「歩き方」「ストレッチ」「食事」によって、股関節の痛みを解消する方法をご紹介します。
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股関節への負担を最小限にする歩行方法で歩く
正しい歩行方法のポイントは足のかかとから着地することです。腕は自然に振り、背筋を自然に無理なく伸ばして、目線は前方に向けます。最初に足のかかとから着地して、体重を足のつま先へと移動させて、最後につま先から地面を離れます。体重を片脚にしっかり乗せながら次は反対の脚という要領で交互に移動させ、リズミカルに歩行しましょう。各関節への負荷が上手に吸収されて、負担を最小限にすることができます。
筋肉の動きを意識しながらゆっくり歩いても良いですし、やや速めにウォーキングとして運動しても良いでしょう。プールで歩くこともオススメです。自分が心地よいと感じるペースで行いましょう。歩行の前後にはストレッチを行ってください。
下半身の筋肉ストレッチで筋力アップする
股関節は関節ですので、股関節自体を鍛えることはできませんが、股関節を支えている周囲の筋肉を鍛えることで、股関節の安定性や動きを改善することができます。股関節の周囲と言えば下半身の筋肉ですが、下半身には主に以下の5つの筋肉群があります。
- 大腿四頭筋(太腿の表側)
- 股関節外転筋群(股関節を外側に開く時に使う)
- 股関節屈曲筋群(股関節を曲げる筋肉)
- 股関節伸展筋群(関節を伸ばす)
- 膝関節屈曲筋群(膝を曲げる時に使う)
残念ながら、下半身の筋肉は年齢とともに筋力が衰えやすく、特に股関節の周囲の筋肉はいったん衰えると元に戻すことが難しいのですが、根気よく続ければ筋力アップは可能です。以下にご紹介するストレッチはいずれも辛くはありません。長く続けることが大切です。
大腿四頭筋~膝伸ばしストレッチ法
仰向けに寝て膝を伸ばします。そのまま、膝の後ろ側を床に付けるようにします。太腿の表側の筋肉に力を入れて、床を押すような感じで6秒間力を入れてみてください。その後、15~20秒間休憩を入れて、これを2回繰り返してください。週5日、毎日1セットで徐々に効果が現れます。
股関節外転筋群~横上げストレッチ法
横向きに寝転がって、上側の足をゆっくりと上げ下げします。上げる時と下げる時にそれぞれ3~5秒間かけて、10~15回行います。そして反対側の横向きになって、もう片方の足も同じように行ってみましょう。これを1日1セット行います。足の横側の筋肉を鍛えるのは他の筋肉に比べ時間がかかるのですが、毎日続けていくうちに筋力アップし、肩の揺れが少ない綺麗な歩き方につながります。
股関節屈曲筋群~前上げストレッチ法
仰向けに寝て、片足をゆっくりと上げ下げします。上げる時と下げる時にそれぞれ3~5秒間かけて、10~15回行いましょう。次に、もう片方の足も同じように行います。これを1日1~3セットするなら股関節を曲げる筋肉への効果が大きいでしょう。
股関節伸展筋群~後ろ上げストレッチ法
うつ伏せに寝て、足をゆっくりと上げ下げします。上げる時と下げる時にそれぞれ3~5秒間かけて、10~15回行いましょう。次に、もう片方の足も同じように行います。これを1日1~3セット行うことによって、太腿の裏側にある股関節を伸ばす筋肉が鍛えられます。
膝関節屈曲筋群~膝曲げストレッチ法
うつ伏せに寝て、片方の足の膝が直角になるようにゆっくりと曲げたり元に戻したりします。この時、太腿の裏側にある筋肉を意識しながら力を入れましょう。足を曲げる時と戻す時に3~5秒かけて、10~15回行います。次に、もう片方の足も同じように行いましょう。これを1日1~3セット続けることによって、膝を曲げる筋肉が鍛えられます。
関節に効果のある食事を摂る
栄養バランス
関節に最も良い食事とは、栄養バランスが良い食事です。主食に加えて、副菜や主菜、牛乳や乳製品、果物などをできるだけバランス良く摂ってください。農林水産省と厚生労働省が作成した食事バランスガイドが参考になるでしょう。
スパイス・ナッツ類
生姜やにんにく、ウコンや胡椒、バジルなどのスパイスや、くるみやアーモンドなどナッツ類には、関節などに生じた炎症を鎮める効果があります。ただし、一度に大量に摂ってもすぐに効果は期待できません。毎日の食事で取り入れ長期的に続けていくうちに、徐々に抗炎症作用の効果が現れてくるでしょう。
例えば、スパイスをたくさん入れた本格カレーや、鶏肉とカシューナッツの炒め物、おやつにはくるみ大福、お酒のおつまみにナッツ類といった感じで自然に取り入れてみてください。
野菜や果物
さまざまなビタミンやミネラルなどが含まれている野菜や果物をたっぷり摂りましょう。また、ビタミンやミネラル以外にも、野菜や果物に含まれている微量栄養元素には抗炎症作用や抗酸化作用があり、体の老化を予防する働きもあります。
カルシウム
関節に関係する骨や軟骨、人体や筋肉に必要なカルシウムも摂りましょう。カルシウムを手軽に効率よく摂取するには、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品がオススメです。ただし、乳糖不耐症の方や肥満が気になる方は、牛乳は低脂肪乳や無脂肪乳、脱脂粉乳などのスキムミルクを選ぶの良いでしょう。
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サプリメント・健康食品
関節に良いと言われているグルコサミンやコンドロイチン。これらの成分は人体の軟骨などの存在しており、すり減った関節軟骨の再生や関節の痛みの緩和に効くと言われています。しかし、実はこれらの成分が関節に直接効くということははっきりとは証明されていません。ただし、効果の可能性としてはありますし、体に悪いものではありませんので、これらの成分を摂りつつ、適度な運動をし必要であれば治療を受けるのがよいでしょう。サプリメントや健康食品などは、あくまでも医療の補助として使うべきものということを覚えておいてください。
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