帯状疱疹の初期症状とは?
「なんだか皮膚にモゾモゾとした違和感やピリピリとしたかゆみを感じる」これは帯状疱疹になる前の「前駆痛」という症状です。帯状疱疹の場合、すぐに発疹や水ぶくれができることはありません。
前駆痛は数日から1週間ほど続きます。ビリビリとした刺すような痛みやズーンと響くような重苦しい痛みもありますが、痛みだけでは発症に気付きにくいため、発見が遅れがちになってしまうことも多いでしょう。実際、前駆痛が背中や腰に出た場合、肩こりや腰痛と間違われることが多いなど、別の病気と勘違いされることがよくあるので注意が必要です。
帯状疱疹の症状の変化とは?
前駆痛の後、発疹が現れてさらに激痛になりますが、これを「急性痛」と言います。急性痛は神経に沿ってウイルスが移動して暴れるため、発疹が帯のように現れます。また、体の左右どちらか一方、主に顔や胸に現れることが多いです。
しかも、神経や神経組織が破壊されるため、痛みは激しいものになります。最初は虫刺されのような小さくて赤い発疹が数個現れて、次第に透明の水ぶくれになり、4〜5日経つと黄色い膿がたまった膿胞になります。これは体がウイルスと戦っているからです。その後6〜8日経つと膿疱が破れただれたり潰瘍になります。最後は、乾いてかさぶたになります。
帯状疱疹の一般的なパターンとは?
実は、帯状疱疹の痛みは個人差が大きいという特徴もあります。前駆痛の痛みが軽い人もいれば、意外にも、皮膚の違和感やかゆみだけで、痛みがなく終わる人もいます。逆に、発疹とともに激痛を感じ、治っても痛みが続くといったような人もいます。
また、まれに発疹が全身に広がったり、複数の部位に現れる人もいます。このように、帯状疱疹の症状には大きな個人差はありますが、一般的には、軽い痛みが出た後発疹が同じ場所に出て、それが激痛に変わるという特徴があります。
帯状疱疹のメカニズムとは?
帯状疱疹は皮膚の病気ではなく神経の病気ということをご存知ですか?帯状疱疹の原因は、体内の感覚神経節と呼ばれる神経に潜んでいる水ぼうそうのウイルスで、ウイルスが神経の末端である皮膚の近くに届くために発疹が現れます。また、体に痛みを感じるのは、ウイルスが増殖して移動し、神経を刺激して炎症を起こすためです。
炎症を起こした時に分泌される物質が2つあります。一つは、ブラジキニンと呼ばれるもので、痛みを伝える炎のようなものです。もう一つは、プロスタグランジンと呼ばれる燃焼促進剤のようなものでこれが痛みを強くします。この2つの分泌物質が脳へ伝わるために痛みを感じるのです。
帯状疱疹の原因とは?
子どもがかかることの多い「水ぼうそう」。実は、水ぼうそうウイルスの正式名称は「水痘・帯状疱疹ウイルス」と言い、水ぼうそうが治った後もそのウイルスは死滅せずに感覚神経の神経節に潜みます。これこそが帯状疱疹の原因です。
そのウイルスの多くは、最初に水痘を発症させて、数十年後に帯状疱疹を発症させます。通常、体の免疫力が働くためウイルスは活動しませんが、さまざまな要因によって免疫力が低下するとウイルスの増殖が始まってしまいます。水ぼうそうウイルスに対する免疫力は、水ぼうそう発症後40~50年後くらいに衰えるため、その頃に帯状疱疹も発症しやすくなります。
帯状疱疹の治療法とは?
皮膚の痛みを数日感じた後に発疹や水ぶくれが現れたら、すぐに皮膚科を受診しましょう。自己判断は禁物です。できるだけ早く抗ウイルス薬を飲んだほうが、皮膚症状や痛みが軽いうちに治るからです。
ウイルスの増殖を抑えれば、神経の炎症も治り皮膚症状も緩和していきます。基本的に、抗ウイルス薬は7日分処方されます。効果が出るまで時間がかかる場合がありますので、勝手に服用をやめないようにしましょう。医師の指示どおりに薬を飲みきる頃には、ウイルスの活動は徹底的に抑えられるはずです。
帯状疱疹を発症しやすい人の特徴とは?
水ぼうそうにかかった人が帯状疱疹を発症する割合は約30%と言われています。では、なぜ発症する人と発症しない人がいるのでしょうか?
これは免疫力と関係があります。免疫力が落ちるのは、加齢やストレス、過労によって弱った体です。注意したいのは、ここでいう「ストレス」とは辛いことだけではなく、楽しく遊ぶことも含まれるということ。例えば、レジャーなど楽しくて気持ちが興奮すると体に負担がかかりがちですがこれもストレスの一つです。よって、長期旅行や多忙な仕事などで疲れがたまると、若い人でも帯状疱疹を発症することがあります。
また、発症は体力の低下に伴い増加し、50代以降、特に60〜70代にピークとなります。さらに、悪性腫瘍や糖尿病、膠原病などの持病がある人も、免疫システムが乱れやすくなるため発症しやすくなります。できるだけ体に負担をかけないようにして、免疫力を弱らせないように心がけましょう。