歯周病とはどのような病気?
歯周病とは、その他の通り、虫歯など歯そのものに起こる病気ではなく、歯の周りに起こる病気です。
歯の周りに付いた汚れなどの細菌のかたまりをプラークと言いますが、このプラークは歯と歯茎の間に入り込むと炎症を起こします。体の中でも最も弱い部分と言われている歯茎は柔らかく、しかも硬い歯との接点でもあるため、細菌が付くと炎症を起こしやすいのです。この炎症のことを歯周病と呼びます。
歯周病は、たいてい最初は歯の出血や腫れから始まりますが、歯そのものが痛むわけではありません。そのため、歯医者は嫌いという気持ちからそのままにしてしまいがちです。しかし、この歯茎に起きた炎症を放置しておくと、炎症を起こしている細菌が最終的に歯を支えている歯槽骨と呼ばれる骨を溶かしてしまい、最終的には歯が抜け落ちてしまうという悲惨な結果につながる危険があります。
また、「歯周病」に関連する病気として「歯肉炎」「歯周炎」があります。これらは別の病気というわけではなく、まず最初に歯茎に炎症が起きた状態を「歯肉炎」と呼び、その状態が悪化すると「歯周炎」、さらに悪化が進むと「歯周病」というように、よってその炎症の進行度合によって呼び名が変わってくるのです。
歯周病になる原因とは?
歯周病になる主な原因は、歯肉炎を長期間放っておいてしまうことです。意外に思うかもしれませんが、実は歯肉炎は一般的に、永久歯が生え始める6~7歳という幼い頃に最初に発症します。この年齢の頃は甘い物や柔らかい物を食べることが多く、また歯磨きが不十分なために、歯の汚れなどの細菌のかたまりであるプラークが残った状態になりやすいからです。つまり、多くの人がそれ以降、歯周病が少しずつ進行していくリスクを抱えていると言えます。
また、もう一つの要因もあります。通常、体には自浄作用と言って、細菌によって生じる毒素や酵素が体内に入らないようにする働きがあります。例えば、腸の中に存在している細菌の中には悪い細菌もいますが、体が元気なうちはその自浄作用のためにそのままの状態では病気を引き起こすことはありません。しかし、残念ながら、歯にはこのような自浄作用はありません。そこで、歯に付いたプラークを除去するためには、歯みがきなどの外部からの働きが必要であり、これが不十分だと歯周病を引き起こしてしまいます。
恐ろしいのは、歯の表面に付いた細菌は放っておくと少しづつ広がっていくということ。最初は糊のようなものを出して増殖し、糸状の菌になります。それから12時間くらい経つと、細菌層になって歯を覆ってしまうのです。その後、24~48時間くらい経つとベッタリとしたプラークになって、細菌を保護する強力なバリアを作ってしまうのです。
歯周病になるまでの症状とは?
すでに述べた通り、歯周病の前段階としてまず「歯肉炎」があり、それが進むと「歯周炎」になります。
まず「歯肉炎」の症状としては、鏡で見たときに、目で見える歯肉の部分のみが炎症を起こし、歯と歯の間の歯肉が腫れたり、赤っぽくなったりするというものです。歯みがきをすると歯肉から出血することもあるでしょう。
そしてその炎症が進むと、細菌が歯と歯茎の間にあるわずかなすき間(=歯周ポケット)に入り込みます。そうなるとポケットが次第に深くなっていき、歯を支えている歯槽骨にまで至ります。これが「歯周炎」です。症状としては、歯肉がブヨブヨして赤紫色になったり、歯周ポケットに膿が溜まって口臭がしたり、歯がグラグラしてきたりします。
いったん歯周ポケットが深くなってしまうと、歯磨きなどではそれを浅くすることはできませんので、歯茎に異常を感じたら早めに歯医者に行きましょう。
歯周病を予防する方法とは?
歯周病は「静かに進行する病気」と言われています。予防するために一番簡単で、且つ有効な方法は、やはり歯磨き。推奨されている歯磨き習慣は「1日3回、食後3分以内に、3分間みがく」というものです。
有効な理由は、歯に付いた細菌の組成は単純なため、食べた直後であれば歯磨きで落としやすいということです。ただし、甘い物など糖分が多く含まれている物は、歯に付いた細菌のエネルギーとなり、細菌が繁殖しやすいので注意が必要です。しかも、細菌の中にはネバネバした糊状の細菌に変化して、食後3分も経つとエナメル質の表面を溶かし始めてしまうものがあります。食後早めの歯みがきが必要なのはこのためです。また、甘いものもなるべく食べないに越したことはありません。
もちろん、歯の磨き方も大事です。きっちり3分間とは言わずとも、細菌を除去するためにまんべんなく丁寧に歯を磨くよう心がけましょう。歯科医院では、歯の磨き方を教えてもらうこともできます。また、歯周ポケットに入り込んだ細菌が悪化しないためにも、一年に一度、歯科医院で定期検査することをオススメします。