「野菜や果物をたっぷり食べていても、それだけではダイエット目標の達成には不十分な可能性があります。健康的に減量するためには、食欲を抑え、代謝や消化を安定させてれる、いくつかの重要な栄養素をしっかり摂る必要があります」(ニューヨーク在住 栄養士・Jessica Cording氏)。ダイエットにたんぱく質と食物繊維が効果的であることは比較的よく知られていますが、ここでは、減量に効果的な、それ以外の栄養素をご紹介します。
鉄分
肉食系の方にとってはありがたいことに、赤身の肉には鉄分がたっぷり含まれており、日々のカロリー消費に役立ちます。「鉄分が不足していると、体がだるい、疲れる、目まいがするなどの症状が現れ、代謝が低下します。また、トレーニングをすると鉄分は失われるので、1日に必要な鉄分18mgをしっかり摂るように心がける必要があります」(Cording氏)。肉をあまり食べないという方は、豆類(特にレンズ豆)、濃い緑色の葉野菜などを積極的に食事に取り入れてください。
おすすめ食材:ひじき、キクラゲ、レバー、焼きのり、あさり、レンズ豆等
ビタミンC
鉄分は体を活性化するのに役立ちますが、ビタミンCと組み合わせることによって、それがさらに促進されます。鉄分は単体では体に吸収されにくいのですが、野菜や果物に含まれるビタミンCはその吸収を助けてくれるからです。また、ビタミンCには抗酸化作用があって、体内の良質な細胞の活動を促進します。「ビタミンCは、細胞にさまざまな活動をするよう指令を出します。例えば、フリーラジカル(≒活性酸素:がんの発生を促進する物質)と闘うこと、あるいは免疫系が正常に機能することなどです。また、細胞が正常に機能機能していれば、筋肉の働きはより活発になります」(Cording氏)。1日に75mgのビタミンCを摂るよう心がけましょう。
おすすめ食材:ピーマン(特に赤/黄)、レモン、キウイ、芽キャベツ、ケール、ゴーヤ等
カルシウム
カルシウムは乳製品全般に多く含まれます。「最近の研究では、1日の推奨量のカルシウムを摂取すると減量効果があることが報告されています。これは、カルシウムは細胞が最大限に機能することを助けるからと考えられています。具体的には、より追い込んだトレーニングをできる、食事をよく消化できる、栄養素を効率よく使うことができる、代謝が活発になる、などが挙げられます」(Cording氏)。1日の推奨摂取量は1,000~1,200mgで、おすすめはヨーグルトです。「ヨーグルトは私もよく食べています。ヨーグルトに含まれるプロバイオティクス(機能性細菌)が消化機能をスムーズにするので、胸やけや消化不良をなくしてくれる効果もあります。乳製品が苦手な方は、豆腐、サーモン、白い豆、ケールなどもカルシウムは豊富です」
おすすめ食材:干しエビ、煮干し、チーズ、ひじき、エンドウ豆、牛乳等
脂質
脂肪を燃焼するために脂肪を摂るというのはおかしな話に思えるかもしれません。しかし、良質な脂質を適量摂ることはダイエットに役立ちます。「良質な脂質に含まれる不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールの数を減少させ、善玉コレステロールを増加させます。また脂肪の消化には時間がかかるので、空腹をより長時間抑える効果もあります」(Cording氏)。不飽和脂肪酸は、オリーブオイル、アボカド、ナッツ類、サーモン等の脂の乗った魚に多く含まれます。もちろん食べ過ぎはよくありません。ほどほどにどうぞ。
おすすめ食材:オリーブオイル、ひまわり油、マカダミアナッツ、アボカド、まぐろのトロ、さば等
ビタミンB6
ビタミンB6はあまり馴染みがないかもしれませんが、食事をエネルギーに変えるために欠かせない重要な栄養素です。また低糖質ダイエットをしている方にとっては特に重要です。「ビタミンB6は、神経伝達物質セロトニンやその他精神状態を安定させるための物質の生成と深いつながりがあります。精製された穀物や砂糖が多く含まれた食べ物をカットするのは良いのですが、そのためにセロトニンが足りなくなり、逆にそれらを食べたくてたまらなくなる悪循環に陥ることがあります。しかしビタミンB6を十分に摂れば、セロトニンの分泌が安定し、気持ちは落ち着きます」(Cording氏)。1日の推奨摂取量は1.3mgです。
おすすめ食材:にんにく、ピスタチオ、まぐろ、かつお、牛レバー、バナナ、焼きのり、唐辛子等
亜鉛
亜鉛は代謝アップのための重要な要素です。「亜鉛は甲状腺が代謝を安定させるホルモンを分泌するのを助けてくれます。摂取が推奨摂取量は1日8mgで、これはカボチャの種約90gを食べれば摂取可能です。他には牡蠣もおすすめで、低カロリーで亜鉛の他にたんぱく質も豊富です」(Cording氏)
おすすめ食材:牡蠣(生)、豚レバー、ほや、ビーフジャーキー、松の実、ごま等