ケトダイエット(ケトジェニックダイエット)とは、糖質を制限することによって、脂肪を燃焼し、「ケトン体」をエネルギー源にするダイエット方法のこと。簡単に言えば、糖質制限ダイエットです。ここでは、ケトダイエットで食べてよいものをご紹介します。
目次
シーフード
魚介類は、糖質はほぼゼロで、しかもタンパク質やビタミンB、カリウム等の栄養素が豊富です。ただし、ものによっては、多少の糖質を含む魚介もあるので、微量の糖質もカットしたいという方は注意してください。以下は 100g 中に含まれる糖質量です。
- ムール貝:7 g
- はまぐり、あさり:5 g
- 牡蠣:4 g
- タコ:4 g
- イカ:4g
また、鮭、いわし、サバ等の青魚は、オメガ3脂肪酸が豊富で、インシュリンレベルを下げ、肥満の方のインシュリン感受性を改善するのに効果的です。また、日常的に魚介類を摂取することによって、うつ等の精神疾患の予防や改善にも効果があると言われています。近年は日本人の魚離れが進んでいますが、是非日々の食卓に魚介類を積極的に摂り入れましょう。
低糖質の野菜
野菜は、各種ビタミン、ミネラルの貴重な供給源ですが、ケトダイエットに関して言えば、食物繊維の供給源として重要です。食物繊維は、糖質の吸収をおだやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。また、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜等は、老化や病気などの原因である活性酸素と闘ってくれる抗酸化物質の宝庫でもあります。
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ただし、野菜の中にも、じゃがいも、さつまいも、れんこん、玉ねぎ等、糖質が多く含まれているものがあるので注意が必要です。
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こういった野菜は、糖質を極力ゼロにカットしたい方は避ける必要がありますが、一方で、あえて主食にする手もあります。例えば「キャベツライス」や「ベジタブル麺 にんじん」などが最近話題になっていますが、これらは白米よりもずっと糖質が少なく、食物繊維やビタミンはずっと多いので、ヘルシーな主食になります。
チーズ
チーズは、高脂肪・低糖質で、ケトダイエットに非常に向いた食材の一つです。タンパク質やミネラルも豊富で、例えば雪印カマンベールチーズの 1/4切れ(25g)には、タンパク質が 4.8g、カルシウム 115g が含まれていますが、糖質はわずか 0.225g です。高脂肪であることを気にする人もいるかもしれませんが、最近の研究では、チーズの脂肪は心臓病や脳卒中のリスクに影響しないと言われています。また、チーズに含まれる共役リノール酸には、脂肪の合成を抑え、燃焼を助ける働きがあります。
アボカド
アボカドは「世界一栄養価の高い果物」としてギネスブックに登録されている食べ物です。特にビタミンEが豊富ですが、その他にも各種のビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸などを豊富に含んでいます。脂質も高いのですが、実はその脂質はほとんどが善玉脂質と呼ばれる不飽和脂肪酸で、悪玉コレステロールを減らしてくれる働きがあります。また、炭水化物が、100g中に 6g 含まれていますが、実はそのうち 5.3g は食物繊維なので、糖質はほぼゼロと言えます。
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肉
肉類は、ケトダイエットでは「主食」にすべき食品です。豊富なタンパク質は、糖質を控えることによって不足するカロリーを補い、また筋肉を維持するのに役立ちます。また、ビタミンやミネラルと言うと野菜に含まれているものというイメージがありますが、肉にはビタミンB群やミネラルも豊富に含まれており、脂質や糖質の代謝を助けてくれます。
また、肉の脂身は悪者と思っている人が多いと思いますが、近年の研究では、食肉に含まれる飽和脂肪酸の中には、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす働きがあるものがあることが判明してきました。よほどの摂り過ぎでなければ、肉の脂身はむしろ体によいのです。
できれば、肉はグラスフェッド(牧草飼育)のものを選びましょう。グラスフェッドの肉は、通常の肉よりもオメガ3脂肪酸や共役リノール酸、抗酸化物質が豊富で、よりヘルシーです。
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卵
安価で栄養価が高く、さまざまな料理に活用できる卵は、ケトダイエットにおけるメイン食材の一つです。卵1つに含まれている糖質はわずか 1g 未満で、タンパク質は 6g も含まれています。また、満腹ホルモンと呼ばれるレプチンの分泌を促し、カロリーの摂取を24時間抑えることも知られています。
ストイックなアスリートやダイエッターの中には、卵の白身だけを食べる人がいますが、卵は是非黄身も食べてください。黄身には抗酸化物質のルテインとゼアキサンチンが豊富に含まれており、目の調子を整えてくれます。たしかに黄身にはコレステロールも含まれていますが、最近の研究によれば、実は血中コレステロール値を上昇させることはなく、むしろ善玉コレステロールを増やすことが明らかになっています。
ココナッツオイル
健康に良いと近年話題になっているココナッツオイルは、ケトダイエットにも非常に効果的です。ココナッツオイルの主成分である中鎖脂肪酸は、燃焼するときにまさに「ケトン体」が作られます。血液中を循環せずに直接肝臓に送られるので、脂肪として蓄積されることはなく、即座にエネルギーに変えられます。ある研究では、一日大さじ2杯(30 ml)のココナッツオイルを摂った人は、他の食生活は何も変えずに、平均でウエストが約2.5cm 細くなったことが報告されていいます。
また、中鎖脂肪酸には記憶力低下を抑制する働きがあることが近年明らかになりました。アメリカでは、アルツハイマーや他の認知症の治療にココナッツオイルが活用された事例が報告されています。
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オリーブオイル
最近はココナッツオイルの陰に隠れがちですが、オリーブオイルは誰もが知っている体に良い油の一つです。主成分であるオレイン酸には抗酸化作用や悪玉コレステロールを減らす働きがあることが知られています。なお、購入する際は、「バージン」よりも抗酸化物質が豊富な「エクストラバージン」のを選びましょう。
オリーブオイルが加熱に弱いことは有名な話ですが、最近は「実は加熱しても問題ない」という説を唱える人も出てきました。たしかに、コーン油やごま油等の他の不飽和脂肪酸の油と比べると、オリーブオイルが酸化しにくいのは事実ですが、ココナッツオイル等の飽和脂肪酸に比べると、加熱によって酸化しやすいのは間違いありません。オリーブオイルは、ドレッシングやマリネ、手作りのマヨネーズ等、加熱しない調理で使うのがオススメです。
バター(生クリーム)
バターや生クリームもまた良質の油で、安心してケトダイエットに使うことができます。従来は、バターは心臓病のリスクを高めると言われてきましたが、ほとんどの人にとっては当てはまらないことがさまざまな研究で明らかになってきました。むしろ、バター等の適量の乳製品を毎日摂ることによって心臓病のリスクが下がるという研究もあるほどです。
また、バターや生クリームは、他の乳製品と同様、共益リノール酸が豊富で、体内の脂肪を分解、燃焼、抑制する働きがあります。さらに、ココナッツオイルと同じ飽和脂肪酸で、酸化しにくい性質も持っています。
オリーブ
オリーブの実の方も、オリーブオイルと同じ効果がある健康食材です。オリーブにはオレウロペインという抗酸化物質が含まれ、美容やアンチエイジング、生活習慣病予防などの効果が期待できます。また、複数の研究で、骨粗しょう症の予防にも効果があることが報告されています。食物繊維も豊富で、可食部 100g に 3.3g 含まれていますが、糖質も 1.2g 含まれていますので、食べ過ぎには注意しましょう。
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プレーンヨーグルト(カッテージチーズ)
腸内環境を整える働きで有名なヨーグルトは、100g中に 3.6g のタンパク質が含まれており、タンパク質源としても魅力的です。糖質が 4.9g 含まれていることには注意が必要ですが、ケトダイエットに取り入れる価値は十分にあります。また、ヨーグルトがお好きな方は是非カッテージチーズも試してみてください。水切りヨーグルトに似た食感で、100g中のタンパク質はなんと 13g。糖質はわずか 1.9g です。また、プレーンヨーグルトもカッテージチーズも、満腹ホルモンの分泌を促し、食べ過ぎを防ぐ働きもあります。
そのままでは味がなく食べにくいので、エリスリトールやラカントS等の糖質ゼロの甘味料を加えましょう。砕いたナッツとシナモンを振りかけると、お洒落なスイーツに変身します。また、カレーやサラダなどの料理に使うと、食べ方のバリエーションが広がります。
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ナッツ類
ナッツや種子もまた、ケトダイエット向きの健康的な食品の一つです。ナッツ類を毎日食べる人は、食べない人よりも、心臓病やガン、うつ等の発症のリスクが低いことが知られています。また、ナッツ類は食物繊維が豊富なので、少量でも満腹感を得ることができて、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。
ナッツや種子は概して低糖質ですが、ものによってはやや多めに含むものもあるので注意してください。以下は 100g 中に含まれる糖質量と食物繊維量です。
- カシューナッツ:8 g (食物繊維 1 g)
- アーモンド:5 g(食物繊維 1 g)
- ピスタチオ:5 g (食物繊維 3 g)
- カボチャの種:4 g (食物繊維 1 g)
- ごま:3 g (食物繊維 1 g)
- くるみ: 2 g (食物繊維 2 g)
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- ピーカンナッツ:1 g (食物繊維 3 g):楽天市場|Amazon
- チアシード:0 g (食物繊維 11 g):楽天市場|Amazon
チアシードはなんと糖質がゼロ、食物繊維も多く、圧倒的にヘルシーなのが分かります。その他では、ピーカンナッツとブラジルナッツが優秀です。
ベリーフルーツ
果物のほとんどは糖質が高く、ケトダイエットではあまりオススメできませんが、ベリーフルーツは例外です。多少の糖質は含むものの食物繊維も豊富で、例えばラズベリーとブラックベリーには、糖質とほぼ同量の食物繊維が含まれます。また、ベリーフルーツには抗酸化物質のアントシアニンも多く含まれ、アンチエイジングや生活習慣病の予防に効果があります。少量であれば、ケトダイエットに取り入れるのもよいでしょう。以下は 100g 中に含まれる糖質量と食物繊維量です。
- ブラックベリー:5 g (食物繊維 5 g)
- ラズベリー:6 g (食物繊維 6 g)
- イチゴ:6 g (食物繊維 2 g)
- ブルーベリー:12 g (食物繊維 2 g)
しらたき
日本にはしらたきという素晴らしい健康食材があることを忘れてはいけません。100g 中に含まれる糖質はわずか 0.1g で、カロリーも 3kcal、食物繊維は 3g 含まれています。尚、この食物繊維はグルコマンナンと呼ばれ、水の中でなんと約50倍に膨れる性質があります。当然腹持ちがよく、ダイエットには最適です。
しらたきはさまざまなレシピで活用できます。麺類の代用品にするのが使いやすいですが、みじん切りにして炊いて、ご飯の代わりにするのもオススメです。
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コーヒー・紅茶(砂糖抜き)
嗜好品であるコーヒー・紅茶は、ダイエットにも健康にも効果がある飲み物です。どちらにもカフェインが含まれており、カフェインには代謝を増進させ、皮下脂肪を燃焼させる働きがあります。また、コーヒーと紅茶を日常的に飲む人は、飲まない人に比べ、糖尿病の発症リスクが低いという研究もあります。
ただし、砂糖の入った甘いコーヒー・紅茶はいけません。ブラックやストレートで飲むのがよいですが、飲みにくいという方は、砂糖ではなくミルクを入れましょう。どうしても甘くしたい人は、糖質ゼロの甘味料、エリスリトールやラカントSなどを入れて飲むことをオススメします。
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ダークチョコレート、ココア
ダークチョコレートとココアは、スイーツ好きにはうれしい健康食品です。チョコレートとココアの原料であるカカオ豆(カカオの種子)には、抗酸化物質である「カカオポリフェノール」がたっぷり含まれており、その量は赤ワインや緑茶に含まれるポリフェノールの量をはるかに上回ります。また、カカオポリフェノールは、他の種類のポリフェノールと比べ、血圧低下、動脈硬化予防、美肌効果、アレルギーの改善効果などに優れています。
参照:ポリフェノール含有食品の商品テスト結果 – 国民生活センター
ただし、ダークチョコレートにももちろん糖質は含まれています。例えば、明治の「チョコレート効果 カカオ72%」には、1枚(5.0g)当たり糖質が 1.6g 含まれているので、食べ過ぎには注意しましょう。また、ココアは無糖の純ココアパウダーを選び、自分でエリスリトールやラカントSなどを入れて飲むことをオススメします。
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