古くから日本人に親しまれている薬味野菜。繊細な香りや爽やかな苦味、鮮烈な辛味や心地よい歯ざわりなどが、料理を引き立てます。薬味野菜は緑黄色野菜の一種で、漢方では生薬としても使われており、とても体に良いもの。味のアクセントとして少量使うこともできますし、料理全体の味を力強くするものとしてふんだんに使うこともできます。ここでは、薬味野菜の種類と活用法の一例をご紹介します。
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しそ
独特な香りの高いしそ。葉が緑の青じそと赤紫色の赤じそがあり、成長に合わせて料理に使うことができます。双葉の時は刺身のつまに使ったり、育った葉は天ぷらにしたり、しその実は漬物や佃煮にすることができます。しそといりこの炒め物にしたり、しそ・塩鮭・ごまを混ぜて醤油で味付けしたものを、お茶漬けや熱々のご飯にかけるのもオススメです。
にら
独特のきつい香りがあるにら。栄養価が高い野菜として古くから食されています。香りが気になる時は、さっと茹でた後しばらく水にさらしたり、塩でもんだ後水洗いすると、きつい香りをマイルドにすることができます。にらソースをつくって豚肉の照り焼きにかけたり、シンプルに炒め物としても美味しくいただけます。
にんにく
古くから世界各地で香辛料として使われているにんにく。独特の強い香りは食欲を増進させてくれます。にんにく風味のソースをふっくら蒸した鶏肉にかけたり、根菜類と一緒に低温でじっくりと揚げるにんにくチップスもオススメです。
木の芽
山椒の木の若芽を意味する木の芽。爽やかな香りと緑色は料理を舌と目で楽しむことができます。刺身のつまとして添えたり、吸い物に浮かべたりと少量使うのが一般的ですが、たけのこをやわらかく煮た若竹煮にたっぷりの木の芽を盛ると、風味を存分に味わうことができます。
わさび
日本料理によく使われる香辛料のわさび。ねっとりとした粘りと刺激的な香り、後に残す甘みが上品な辛さを感じさせます。わさび菜を豆腐と和えた白和えや、味噌にわさびを加えて作るわさびれんこん、お肉にかけるソースなどに活用することができます。
らっきょう
カリッとした歯ごたえと爽やかな酸味のあるらっきょう。塩漬けや甘酢漬けなど、多くの人に親しまれているらっきょう漬けが人気です。香りが濃厚な生らっきょうは、香りとぬめりを少し抜くため、塩をまぶして洗うとよいでしょう。生らっきょうときゅうりと梅肉を和えると、爽やかな味わいを楽しむことができます。
しょうが
爽やかな辛味とくせのない香りで料理の味を引き締めてくれるしょうが。冷や奴やそうめんにたっぷりのおろししょうがをかける、魚の煮付けに入れる、などは多くの人が実践していることでしょう。ちょっと手間をかけるなら、スライスしたものを酢漬けにするとちょっとしたおつまみになりますし、紅しょうがを天ぷらにすると、ストレートな辛さを楽しむことができます。
みょうが
爽やかな香りとシャキシャキとした食感を楽しむことができるみょうが。食欲の落ちる夏場には、みょうがの辛味と独特の香りが刺激になります。混ぜご飯に添えて彩りと香りを楽しんだり、せん切りサラダに加えて、みょうがの歯ざわりを味わうこともできます。あるいは、熱い漬け汁にみょうがを漬ける即席漬けにすると、味がしみ込みシャキッとしたサラダ感覚の美味しさをいただくことができます。
三つ葉
あくの少ないデリケートな香りが魅力の三つ葉。香りが高く歯ごたえのあるタイプと、香りが穏やかで柔らかいタイプがあります。お吸い物やおひたし、サラダに加えたり、炊き込みご飯の青みとして使うのもよいでしょう。高野豆腐としいたけなどの煮物に添えたり、卵焼きに入れると、シャキシャキ感を楽しむことができるでしょう。いろいろな具材とかき揚げにするのもオススメです。
白ねぎ
冬野菜として欠かせない白ねぎ。薬味となるさらしねぎにしたり、鍋物に入れてやわらかくとろけるような食感を楽しんだりと、調理次第で異なる味わいを楽しむことができます。小口切りにする場合は、鮮やかな切り口でシャキッと感を出しましょう。例えば、白ねぎを宙に浮かせて薄く切ると、包丁の重みでつぶれないので、白ネギの食感を引き出すことができます。いろいろな具は入れずに白ねぎだけを入れる炊き込みご飯は、素材そのものを味わえます。アナゴや牛肉でごぼうの代わりに白ねぎを巻いて味付けするねぎ八幡巻もオススメです。
青ねぎ
青くて柔らかい葉の部分を使う青ねぎ。小口切りにして水にさらすとぬめりが取れます。さらしねぎにちりめんじゃこを混ぜて、しょうゆやとうがらしをふると、ねぎの旨味をシンプルに味わうことができます。ちりめんじゃこを炊き込んだご飯の仕上げに青ねぎを混ぜると、じゃこの旨味と青ねぎの香りを楽しむことができるでしょう。
参考文献:「薬味野菜が主役で料理」/著者 林 幸子/発行所 文化出版局