冬の寒い時期、もともと冷え性の人にとっては特につらい季節です。帽子やマフラー、手袋やホッカイロなどで寒さを防ぐこともできますが、もっと効果的な方法があります。それは体を芯から温める食べ物や飲み物を活用することで、特に体を温める効果ナンバーワンと言われる食材が生姜です。ここでは、生姜のさまざまな健康効果についてご紹介します。
1. 肥満を解消する
漢方医学では、肥満は「固太り」と「水太り」の二つに分けられます。「固太り」になるのは筋肉質の人で、脂肪は腹部につきやすく、また便秘になりやすいという特徴があります。一方「水太り」は、筋肉が少なくむくみがちで、下半身が太っている人のことです。
「水太り」は特に日本人の若い女性に多くみられます。例えば「夕方になると足のむくみを感じる」という女性は多いですが、そもそも「足のむくみ」とは、体内の余分な水分が時間とともに重力で下がり、体が冷えてしまっている状態を指します。この大きな原因は新陳代謝の悪さ。生姜を食べると体温が上がるため、新陳代謝が活発になり、体内の余分な水分や老廃物が排出されやすくなります。また、脂肪も燃えやすくなり、肥満解消にも効果的です。
2. 風邪を予防・治療する
漢方医学では、風邪のひきはじめに葛根湯が処方されます。葛根湯はドラッグストアなどでも購入できるので、風邪気味だと感じたら是非試してみて下さい。服用してみると、すぐに体がぽかぽかと温まるのを感じるでしょう。実は葛根湯には葛の根だけでなく生姜が入っており、これらのどちらにも体を温める効果があります。体を温めると免疫力が上がりますし、また汗をかくことによってや高くなった体温を下げるのにも効果的です。さらに、生姜には咳を鎮め、気管や気管支にたまっている痰を除く効果もあります。
3. 頭痛・肩こり・腰痛・腹痛を軽くする
寒い日や冷房が効いた室内にいると、頭痛や腰痛、腹痛を感じませんか?体が冷えると、血行の悪さや筋肉のコリが生じ、このような痛みの原因となることがあります。
解消法はとにかく体を温めることで、そのために生姜は効果的です。生姜を食べたり飲んだりするだけで体が温かくなり、痛みが改善することを実感するでしょう。もちろんお風呂に入ることも有効です。ついでにお風呂に生姜を入れて「生姜風呂」にしてしまいましょう。たっぷりの生姜をすりおろしてお茶パックかガーゼに包んで中身が出ないようにし、入浴する15分ほど前に湯船に入れておきます。体を温める効果は絶大で、加えて生姜の香りのリラックス効果もあり、いつまでもお風呂に入っていたくなるでしょう。
4. 便秘を解消する
便秘にもいくつか種類がありますが、水太りで体が冷えている場合、大腸や直腸の冷えが原因であることがよくあります。手のひらでお腹を触ってみて、冷たく感じるならこれに当てはまります。特に女性は体が冷えやすいため、このタイプの便秘が多いと言えるでしょう。
一般的に便秘解消法として、「水をたくさん飲む」「牛乳を飲む」「生野菜や果物を食べる」などが推奨されます。しかし、実はこれらの対処法は、腸を冷やしてしまうので、便秘解消に逆効果になることがあるので注意してください。心当たりのある方は、是非生姜をたくさんとってください。体が温まると大腸や直腸も活発に動くので、きっと便秘も改善されるはずです。
5. 下痢を改善する
下痢にもいろいろなタイプがありますが、慢性の下痢の中には「体の冷え」または「水分のとり過ぎ」で起こるものがあります。これは、体のメカニズムが、体内の余分な水分を外に出すことによって、体を保温しようとするからです。つまり、下痢を解消するには、胃腸を温め、余分な水分を尿や汗として排泄することが必要です。また、急性の下痢の中には「食中毒」が原因のものもあります。そんな慢性・急性どちらの下痢にも有効なのが生姜です。生姜は、体を内側から温め、利尿や発汗、水分代謝を促すだけでなく、食中毒の原因となる細菌を殺し、毒素を排出する働きもあります。下痢になったら是非活用してみてください。
6. 婦人科系の不調を改善する
月経サイクルや更年期など、女性にはつらい症状が出やすい時期があります。婦人科系の病気になりやすい人は冷え性が多く、特に下腹部(へその下あたり)が冷えている傾向があります。下腹部には子宮や卵巣があるので、下腹部が冷えているということは、つまり子宮や卵巣の血行が悪くなっているということ。特に卵巣はエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンを分泌する場所であるため、冷えによって働きが低下し、生理痛や生理不順、子宮筋腫や子宮内膜症、PMS(月経前症候群)、のぼせやイライラ、不安や息苦しさなどさまざまな不調を引き起こします。生姜の体を温める効果は、下腹部の冷えを改善し、女性特有の不調を軽くしてくれるでしょう。
まとめ
漢方医学では冷えは万病のもとと言われています。ここまで紹介してきた病気・症状以外でも、「なんとなく調子が悪い」「からだがだるい」「居眠りしてしまう」等々、体の不調を感じる日は、体の冷えを気にしてみてください。特に女性は、夏でも手足が冷えていたり、冬は寒くてなかなか眠れないという人も少なくありません。是非生姜を活用して、産熱を促しましょう。生姜の活用法はたくさんあります。薬味として使うだけでなく、料理にすって入れたり、薄切りにして食材と炒めたり、甘酢にして漬けたり、バリエーションも豊富です。いろいろ試して、毎日の食事で積極的に取り入れてみてください。
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