便秘の定義
800万〜1000万人が悩んでいると言われる便秘。便秘の定義には諸説ありますが、消化医専門医の共通概念では「1週間に一度も便が出ず、お腹が張って苦しかったり、便がなかなか出ないといった症状がある場合」を便秘と言います。1週間とは言わないまでも、排便が2、3日に一度しかない人は生活習慣を見直してみましょう。もし2週間以上排便のない場合は、単に生活習慣性のものではなく腸の病気も考えられます。
ひどい便秘に悩んでいる方の中には、排便を促すために下剤を使用する人もいるかと思いますが、腸が弱っていて食べ物を消化・吸収する力が低下している状態では、便秘は再発してしまいます。便秘を根本的に治療するためには、やみくもに下剤に頼るのではなく、食習慣や生活スタイルを見直し、適度な運動をするなどして、腸の働きを高めることが大切です。
排便のメカニズム
食べ物を食べると、まず胃で起きる胃・直腸反射によって、胃壁が伸びて結腸が動き出します。次に、腸で起きる直腸反射によって、一定量溜まった便が腸壁を刺激し、便意を起こす信号が脳へ届きます。すると、信号を受け取った脳は、我慢するか排泄するかを判断して、排泄する場合は腸の周りの神経や筋肉に指令を出します。指令を受けた腸の周りは、腹筋が収縮し腹圧がかかることによって、直腸が収縮して排便が起きます。つまり、排便は、腸の働きと脳の働きが密接に関わることによって起こるのです。
便意を長時間無理に我慢したり、下剤によって強制的に便意を起こしたりすると、自然な腸の働きを阻害し、便意を感じなくなるという悪循環を招くため、できるだけ避けたほうが良いでしょう。
生活習慣によって起きる3つの便秘
口より肛門までの食物の通路である「消化管」の長さは、なんと約9mもあると言われています。この消化管のうち胃・小腸・結腸・直腸のどこかで障害が起きてしまうと便秘になります。
一般に、生活習慣によって起きる便秘を「常習性便秘」と言います。常習性便秘には、弛緩性・けいれん性・直腸性の3つのタイプがあり、医療機関での対応があまりありません。弛緩性の便秘は、大腸全体の機能低下によるもので、お腹が張っているのに排便がありません。けいれん性の便秘は、ストレスなどが原因で結腸が緊張し、便秘と下痢を繰り返してしまうものです。直腸性の便秘は、便が直腸まで達していても便意がなかなか起こらず、起きても便が出切らないため、強い残便感があるでしょう。
病気によって起きる3つの症候性便秘
便秘が痛みや熱を伴ったり、下痢を繰り返すなどの症状が併発する場合は、何らかの病気が関係している「症候性便秘」の可能性があります。症候性便秘には3つのタイプがあります。一つめの器質性便秘は、大腸癌や腸閉塞、ポリープなどの物理的障害が起きている場合です。二つめは、下痢になったり、出血したり、粘液混じりの血便が出たりする場合で、潰瘍や癌が考えられます。三つめは、便秘に加えて何日も続く激しい腹痛がある場合です。この場合、炎症性の疾患や癌、腸閉塞やポリープが起きている可能性があります。
便秘が治り定期的な排便があっても、下痢や腹痛などの便秘以外の症状が治まらない場合は、早めに病院で受診することをおすすめします。
軽度の便秘を改善する3つの方法
便秘を治すためには、腸本来の機能を取り戻すことが必要です。便秘が重症化している人ほど、複数の対策を長期的に実施しましょう。病気が関係している場合は、病院での治療が必要になります。
便秘を改善する方法として日常取り組めることは3つあります。一つめは食生活の改善です。まず、偏食や小食、朝食抜きは避けましょう。そして、腸内環境を整えるため、食物繊維や乳酸菌を積極的に摂取し、こまめに水分補給を行います。特に、ダイエット中の方は小食になりがちで、またサプリメントに依存するなどして食物繊維も不足しがちなので、注意が必要です。
二つめは生活スタイルの改善です。排便はできるだけ我慢せず、便意を感じたタイミングで速やかに排便しましょう。また、不規則な生活を避け、軽い運動を定期的に続けることも必要です。
三つめは下剤の使用です。ただし、必ず医師の処方通りに服用し、下剤依存を避けるため、自己判断の使用は止めましょう。下剤が効かない場合、坐剤や漢方薬によって改善する場合もありますので、医師に相談してみてください。
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