呼吸と健康との関係とは?
便秘、冷え性、慢性疲労、肩こり、精神的なストレスなど現代人を悩ませる様々な心身の不調の原因の一つとして、「浅い呼吸」があげられます。身体がこわばり浅い呼吸しかできないと、体内に新鮮な酸素が送られず、自律神経のバランスも崩れてしまい、それが身体に悪影響を及ぼすのです。逆に言えば、呼吸は他の内臓と違って自分で意識してコントロールできるものですから、「深い呼吸」をするだけで、より健康になれるのです。
では、なぜ深い呼吸ができると健康になれるのか?その大きな要因は自律神経にあります。自律神経は、内蔵機能や体温調整、血圧調整など身体の重要なはたらきをコントロールしている神経ですが、深い呼吸で特にゆっくりと吐ききることを意識すると、副交感神経の働きが優位になります。この副交感神経は身体にリラックスした状態を作り出し、ホルモンバランスを整えたり、内臓機能を高めたりする機能があるため、不調の改善につながるのです。また、深い呼吸をすることは、腹筋や骨盤底筋をはたらかせ、お腹周りのシェイプアップや尿漏れの防止にも効果的です。
腹式呼吸をマスターするためには?
様々な効果をもたらしてくれる「深い呼吸」をするためには、腹式呼吸ができるようになる必要があります。しかし、普段から浅い呼吸である胸式呼吸が習慣になっていると、腹式呼吸の感覚をつかむのが難しい場合が多いのです。ですから、初めのうちは身体に余分な力が入らないように、横になった状態でお腹の膨らみやへこみを感じながら練習する必要があります。
そして、必ず「深く長く吐く」ことを意識して、吐ききった後に自然に入ってくる分だけを「吸う」のがポイントです。また、首周りや肩などのストレッチを行って、身体を緩めてから行うと深い呼吸がしやすくなります。
寝て行う腹式呼吸に慣れてきたら、座って行う、または立って行う呼吸にステップアップしていきましょう。より効果的な腹式呼吸が身につけることができます。
心と身体を整えるZEN呼吸とは?
正しい腹式呼吸を行いながら、自分の体内をイメージするのが「ZEN呼吸法」です。これは、江戸時代の禅僧である白隠禅師が実践して現代まで伝えられている「軟酥(なんそ)の法」が現代版にアレンジしたものです。
息を吐くときに、身体を癒してくれる「お薬バター」が頭の上から流れてきて、身体の臓器を一つずつ温めてくれることをイメージしてみてください。慣れてくると本当に身体の中が温まるのを実感でき、大脳の錯覚を利用することで、深い呼吸の効果をより高いものにしてくれます。
この呼吸法は、朝日を浴びながら10分程度行うとより効果的です。朝に日光を浴びることで、体内時計がリセットされて、夜深く眠るために必要なホルモンを分泌するセロトニン神経の働きを活発にしてくれるからです。
呼吸のありかたは心のあり方にも影響する
ZEN呼吸法を続けていくと、身体の様々な部位だけではなく、精神面でも良い変化を感じることができます。この呼吸法で働きが活性化すると言われるセロトニン神経は、感情に関わるホルモンのバランスも調整していますから、そのバランスが整うことで、より前向きで明るい気持ちで毎日を過ごせるようになるのです。
ただし、セロトニン神経が変化しバランスがとれた状態が定着するためには、時間がかかりますので、まずは3ヶ月~半年継続することが大切です。