「フィトケミカル」をご存知でしょうか?英語では「phytochemical」。「phyto」が「植物の」、「chemical」が「化学物質」という意味で、一般的には「野菜に含まれる健康によい物質」という意味で使われます。「5大栄養素」と言えば、炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの5つですが、最近は6番目として「食物繊維」、そして7番目としてこの「フィトケミカル」が数えられることが多くなってきています。
「ファイトケミカル」という呼ばれ方をされることも多いですが、英語での正しい読み方は「フィトケミカル」です。もしかしたら、「ファイトケミカル」と呼ばれるのは、フィトケミカルに、抗酸化作用をはじめ、体内のいろいろな悪いものと「闘う(fight)」働きがあるというイメージからそう呼ばれるようになったのかもしれません。
ここでは、そのフィトケミカルがいったい何と闘ってくれるのか?どんな効果があるのか?ということをご紹介します。
1. 抗酸化作用
「抗酸化作用」とは、「抗」「酸」という名前の通り、有害な活性酸素に抵抗する働きのことをいいます。
ではそもそも「活性酸素」とは何なのでしょうか。酸素は、もちろん人間にとってなくてはならないものなのですが、人間が取り込む酸素のうち、2%ほどは、体を酸化させる(=錆びさせる)、「悪い酸素」に変わってしまうことが分かっています。この悪い酸素のことを活性酸素と呼びます。
活性酸素によって具体的にもたらされる問題としては、一つには「老化」があります。分かりやすい現象ではシミ、しわなどが挙げられます。金属でできたものは時間が経つと錆びますが、実は人間の体もそれと似たようなもの。「酸化=老化」なのです。しかしそれだけではありません。人間は歳をとると誰しもいろいろな病気にかかります。がん、脳卒中、心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病…、数え上げたらきりがありませんが、こうした病気も、活性酸素が細胞を酸化させるために引き起こされると言われています。
フィトケミカルには、この活性酸素と闘い、悪いことをさせないようにブロックしてくれるという働きがあります。これが「抗酸化作用」です。体が酸化させることを完全にストップすることはできませんが、この酸化を少しでも食い止めてくれる、例えるなら「錆び止めのようなもの」と考えると分かりやすいかもしれませんね。
⇒ ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、ピーマン、水菜、ナス、トマト、キャベツなど
2. 免疫力を高める
「免疫力」とは、病原菌やウイルスなど、体の中に侵入した悪いものを排除して、病気にかからないようにしてくれる、自然治癒の仕組みのことをいいます。免疫力が高い人は風邪をひきにくいですし、ひいても治りやすい、怪我をしても治るのが早い、といいことづくめです。
実は、この「免疫力」の正体は「白血球」です。白血球が血液の中を流れて体中を巡ることで、体の中の異物をパトロールしているのです。
フィトケミカルは、この白血球を活性化してくれることが分かっています。その結果、免疫力が向上するのです。
⇒ レタス、白菜、小松菜、ブロッコリー、ほうれん草、ナス、ピーマン、きゅうりなど
3. 解毒力を高める
「解毒」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、要は今流行りの「デトックス」です。人間は、ごく普通の生活をしていても、汚れた空気、食品添加物、農薬、タバコの煙などなど、有害なミネラルから発がん性物質まで、さまざまな有害な物質を体に取り込んでしまっています。
実際に引き起こされる問題は、軽い体調不良からガンなど深刻な病気まで、取り込んだ物質によってさまざまです。興味深いところでは、花粉症やアトピーなどのアレルギーや、代謝の低下を引き起こすことから肥満の原因になるとも言われています。
これらの有害な物質を「解毒」してくれるのが肝臓です。肝臓は、有害物質を水に溶ける水溶性に変え、尿や汗と一緒に排泄してくれます。フィトケミカルは、この肝臓の解毒作用を助けてくれるのです。
⇒ 小松菜、ほうれん草、青ジソ、ケール、ピーマン、ブロッコリー、玉ねぎなど
まとめ
「フィトケミカル」が、私たちの体を整えてくれる大事なものだということがお分かりいただけたのではないでしょうか。ここで紹介している野菜はどれもしっかり摂るべきですが、特にブロッコリー、ほうれん草、小松菜、ピーマンあたりは、抗酸化作用、免疫力、解毒力3つの要素全てに高い効果があり、特に積極的に摂るべきだと言えるでしょう。
ありがたいことに、フィトケミカルは、生のまま食べても加熱して食べてもその効果は変わらないと言われています。一朝一夕にはその効果は表れないかもしれませんが、これらの野菜を摂る摂らないによって、私たちの数年後の体は大きく変わってくるはずです。