冬になると気になるのが肌の乾燥。特に女性は肌の毛穴や目尻のシワが気になるため、いつもより保湿をしっかりすることでしょう。大抵、毎日の保湿ケアで改善されていきますが、中にはアトピーなどの皮膚炎が現れることもあります。ここでは、アトピー性皮膚炎の対処法や、乾燥肌とアトピー性皮膚炎の見分け方をご紹介します。
肌の乾燥とアトピーの見分け方
「皮膚がカサカサする」「肌がかゆい」はアトピー性皮膚炎の症状の一つです。しかし、アトピー性皮膚炎に似た症状はいろいろあるため、早合点してはいけません。
肌の乾燥やかゆみを感じたら、まずはこまめに市販のクリームやローションを塗ってみましょう。ただの乾燥肌なら、肌を常に保湿することによって、すぐに改善されるはずです。
それでも良くならない場合は、皮膚科に行って診てもらいましょう。皮膚科医は皮膚の状態を判断するため、皮膚を観察したり、触ったりします。アトピーなどの皮膚の炎症が起きている場合、適切な外用薬が処方されますので、指示通り塗って経過をみることになります。
アトピー性皮膚炎の特徴
アトピー性皮膚炎の特徴の一つは、皮膚がザラザラと鳥肌のようになっていることです。かゆみを伴う赤い発疹などが出るため、かいてしまいジクジクしたり、かさぶたができたりして、皮膚の表面が硬くなってしまいます。
また、白い粉を吹いたように皮膚が細かく剥がれてくることもあります。症状が出やすい部分は、額・目・口の周り、唇・耳の周り、首・肘の内側・肘の裏側・胴体などです。多くの場合、症状は左右対称に現れます。
アトピー性皮膚炎は乳幼児の病気というイメージを持つ方も多いですが、子供から大人までかかる可能性があります。乳児は2ヶ月以上、大人は6ヶ月以上続くことがあり、大抵、良くなったり悪くなったりを繰り返します。また、家族にアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、喘息などを持っている場合や、本人が他のアレルギー疾患を持っている場合はかかりやすくなります。
アトピー性皮膚炎の悩み
子供の頃にかかったアトピー性皮膚炎が治っても、大人になってからまた繰り返し、なかなか治らないことがあります。特に、症状が目に見える部分に現れるため、「メイクができない」「肌を見せられない」など、心理的もにつらい状態になります。
また、アトピーの皮膚は正常な皮膚よりも皮脂の分泌が少なく、細胞間に隙間ができているため、炎症の原因となる物質が皮膚に入り込みやい状態になっています。ダニや花粉、汗などによって炎症が悪化しやすいため、シャワーを一日に何度も浴びる、こまめに掃除するなど、雑菌が繁殖しないように十分注意する必要があります。
アトピーとの闘いは長期に及ぶことが多く「大変だ」「疲れる」といった気持ちになることもあるでしょう。しかし、アトピー性皮膚炎は決して治らない病気ではありません。処方されるステロイド外用薬を適切に塗って、皮疹が悪くならないよう根気強く治療すれば、少しずつですが必ず皮膚を改善することができます。
アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の治療では、ステロイド外用薬が処方されます。効き目が強いものから弱いものまで5段階あり、皮膚科医が皮膚の状態を診て判断します。症状がひどい初期の頃は強めのタイプでしっかり炎症をとり、徐々にランクを下げていくのがよいでしょう。また、悪くなったところだけ強めのタイプを塗り、炎症を抑えることもあります。
よくあるケースが、ステロイド外用薬を数日間塗ってきれいになってくると、塗るのをやめてしまうというものです。するとすぐ炎症が起きてかゆくなり、皮膚をかき壊してしまいます。アトピー性皮膚炎の多くは、表面上良くなって見えても、皮膚の下では炎症がくすぶっていて、完治はしていません。薬の塗り方や塗るタイミング、やめるタイミングなどは勝手に判断せず、必ず医師に相談しましょう。
かゆみに我慢できない時の対処法
アトピー性皮膚炎のかゆみは、皮膚の表面だけにとどまらず、体の中から湧き上がるような強さがあります。「かいたら悪化する」「我慢しなければ」と思っていても、かゆみに耐えられず、かいていしまうという方が少なくありません。
アトピー性皮膚炎では、皮膚の炎症によって血管が拡張し浸出液が出ているため、少しかいただけでも血や浸出液が出てしまいます。夜寝ている間に無意識にかいてしまい、朝起きるとたくさんの血が出ている、あるいはすでに固まっているという状態に驚くということがよくあります。
そんな辛いアトピーの症状を抑えるには、ステロイド外用薬を使うのが最も有効です。しかし、それ以外にも、以下のような症状を抑える方法があります。
- 患部を冷やす
ハンカチで包んだ保冷剤や、冷たいおしぼりなどを冷たいものを患部に当てると、かゆみがかなり和らぎます - かゆみから意識をそらす
「外の風景を見る」「テレビを見る」「散歩する」など、他のことに思いを向けてみましょう - 爪を短くする
なるべくかかないのが望ましいですが、爪を短くしておけば、かいた時の痛みや刺激を軽減することができます - かいてしまった自分を責めない
小さい頃から「かいてはいけない」「かいたらひどくなる」と言われ続けてきた人ほど、自己嫌悪感を抱きがちです。自分を責めても良いことは何もありません。繰り返さない努力はしつつ、それでもかいてしまったときはなるべく気にしないようにしましょう
まとめ
ステロイド外用薬はアトピー治療にとても有効な薬ですが、長期間使用すると皮膚が薄くなってしまうという副作用があります。また、皮膚表面の免疫系の働きも抑えてしまうので、皮脂腺が多い顔などは、効果が現れにくい場合もあるかもしれません。しかしながら、皮膚科医はそういったことも踏まえて、薬を処方しています。不安や疑問に思うことは、遠慮せず担当医に相談しましょう。