貧血の症状と診断
ヒトの血液(赤血球)の中には、ヘモグロビンと呼ばれる一種のたんぱく質があり、これが血球中にある酸素を運搬する働きをしています。このヘモグロビンの濃度が低下すると体中に酸素が行き渡らなくなり、貧血が起きます。
貧血の種類には以下の4つがあります。
- 鉄欠乏症貧血:鉄分不足によりヘモグロビンの生産が低下する貧血。女性に多く見られる
- 再生不良性貧血:骨髄の造血幹細胞機能不全により血液生産が停止する貧血
- 巨赤芽球性貧血:ビタミンB12や葉酸不足により赤芽球の増殖が異常になる貧血
- 溶血性貧血:赤血球が破壊されることによって起こる貧血
立っている時に血の気が引いたようになる脳貧血はこれらには当てはまりません。
貧血の診断においては、ヘモグロビン濃度(基準値:男性13〜17g/dL・女性11〜15g/dL)、赤血球数、ヘマトリック値などを参考にし、上記のどの貧血に当てはまるかを判断します。
貧血になる原因
貧血といえば大抵の方が鉄欠乏症貧血ですが、幾つかの原因が考えられます。
女性に多いのが、偏食やダイエット、妊娠や授乳による鉄分の必要量摂取不足です。あるいは鉄分を摂取していても胃を切除したり胃酸の分泌が低下したりしていると鉄分が吸収されにくく、さらに月経過多や潰瘍、痔などの出血や失血などにより鉄分が排泄されてしまう状態でも貧血が起きやすくなります。
激しいスポーツなどで、発汗したり酸素の消費量が増加することによっても鉄分が奪われます。また筋肉や血液を作る際にも鉄分が使われるので、男性も女性も12〜14歳の成長期には鉄分の需要が最も高くなります。
貧血を改善する食べ物
貧血を改善するには鉄分を含む食べ物を積極的に食べるように心がけましょう。食事から摂ることができる鉄分は2種類あります。吸収率が15〜25%と高く溶けやすい「ヘム鉄」と、消化吸収率が2〜5%と低い「非ヘム鉄」です。
ヘム鉄は、豚肉や鶏肉、牛肉などの獣肉、鮪や鰹、鰯などの魚類、レバーなどの内臓類などに多く含まれています。
非ヘム鉄は、シジミやアサリなどの貝類、大豆や小豆などの豆類、小松菜やほうれん草などの緑黄色野菜、海苔やひじきなどの海藻類、卵に含まれています。
吸収率の良いヘム鉄を摂るのが効率的ですが、併せてたんぱく質を摂ることも効果があります。これは、たんぱく質には赤血球やヘモグロビンを増やしたり、非ヘム鉄の吸収率を高める働きがあるからです。
鉄分の吸収率を高める方法
食事から摂った鉄分の吸収を助ける栄養素には、葉酸や銅、ビタミンCやB2、B6やB12などがあります。
炭水化物やタンパク質、乳製品や緑黄色野菜、果物などバランス良く食べましょう。特に、ビタミンCは非ヘム鉄の吸収率を高めますので、積極的に料理に取り入れてみてください。
胃酸の分泌を促すと鉄分の吸収がよくなるので、香辛料やハーブを使うのもおすすめです。また、鉄製の調理器具を使用すると溶け出す微量の鉄分を摂取でき、食欲増進のために少量のアルコールを飲むと鉄分の吸収率を高めることができます。
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